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【出たっきり邦人 欧州編】1175 フランス

【出たっきり邦人 欧州編】1175 フランス

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 ■□■□■    出たっきり邦人・欧州編・2013・4・9・1175      ■□■□■
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            ◇◆乙編◇◆
           〓フランス・パリ 郊外発〓
             移民への道

      ~フランス国鉄でのトラブル、あれやこれや。~

みなさま、こんにちは。お元気ですか?
先週、数名の生徒さんが日本へ旅立ちました。目的はもちろん、桜!
うらやましいですねえ。わたしは、渡仏して以来、桜の時期に帰国したことはありません。
だって、この時期に、まとまった休暇を取るのは難しいですよ。
子どもが小さいときは特にそうです。夏休み以外は無理です。
でも、去年、息子が高校を卒業し、とりあえず一段落つきましたので
(実は浪人中なんですけどね)、来年あたり、春に日本に行ってやろうかな。

さて、日本はいい季節でしょうけれど、今年のヨーロッパは未だ、冬が続いています。
30年ぶりの寒さだそうですよ。4月に入っても零下まで下がる朝もあり、
最高気温もやっと10度前後。
お日様はすっかり長くなりましたから、朝、私が家を出る7時30分には
すっかり明るいですしね、それだけは救いなんですけど、
いったいいつまで、厚いコートを着て、冷たい風の吹くホームで電車を待たなければ
いけないのでしょうねえ。

私の住む町は、パリ市内から約50kmの距離にあります。
パリ市内がメトロ、パリに隣接した郊外が、RER(高速地下鉄)で網羅されているのに対し、
50kmも離れてしまいますと、SNCF(フランス国鉄)の管轄になります。
フランスには私立の鉄道はありません。国内を大きくつなぐ鉄道はすべて国鉄の、
市内を走るメトロなどは地方自治体の経営です。
パリとその郊外の定期券は駅から駅で購入するのではなく、ゾーンで購入します。
1ゾーンはパリ市内のみ、2ゾーンはパリ市内と隣接郊外(1,2ゾーンは共通価格)
3ゾーンから6ゾーンは国鉄または高速地下鉄の範囲となります。
ちなみに私の定期券は5ゾーン。この定期券で、北はシャルル・ド・ゴール空港まで、
東はディズニーランドまで行けてしまいますので、なかなかお便利です。(高いけど)

RERに関しては結構ややこしくて、ある駅まではRATP(パリ地下鉄公団)の管轄、
それ以遠はSNCFの管轄、という線もあります。
乗客にとっては、どこが経営しようが、ちゃんと走ってくれればそれでいいのですけど
違いが出るのが、フランス名物、ストライキでございます。
たとえば、RER  A線はほとんどが地下鉄公団の経営ですので、
比較的、ストライキが少ないんですね。でも、電車は汚い・・・
それに対し、D線やB線は最近特に新車が導入されてきれいになりましたが、
しょっちゅうストライキでストップします。これってSNCF経営丸出し。
我が家の最寄り駅はSNCF100%の電車と、RER  C線が乗り入れておりまして、
このC線というのが大変ややこしい線でして、
これがまた、あちこちに枝分かれしているのですが
方向によってRERだったりSNCFだったりするんですね。
だから、今日はRER  C線がストライキ、ただし、南方面は動く、
または、パリ市内だけは動く、みたいな日があります。

そもそも、なぜSNCFはそんなにストライキを行うのか?
(1ヶ月に一度は必ずあると言っても大げさではないです)
そんなに待遇悪いのか?給料が低いのか?
とんでもないですよ、実は、SNCFに勤務する友人がいるのですが
そりゃ、超高給取りとは言えませんけれど、福利厚生完璧、老後は天下り放題(笑)
いったい何が不満なのでしょうという優遇されぶりです。
つまり、労組がめちゃくちゃ強いのでしょうね。結構なこった。

ストライキにも、いろいろ規模があったりして、
SNCFの一部署が決行するスト、こういう小さい規模ですと、事前予告などありませんから
こういうのにぶつかると一番うっとうしいです。
ただし、長く続くことはめったにありません。1日で終わるのがほとんどです。
SNCF労組主催のストや公務員ゼネストの時には、事前予告があります。
こちらは、数日続くときもあります。
昔は、駅の構内に張り紙がされたり、当日の運行予定表が配られたりしました。
今はすごいですよ、2日前には予告メールが入りますし(SNCFのサイトで登録要)
運行予定表もダウンロードできちゃいますから。
ただ、予定は予定ですからね。実際にはそのうち半分しか運行しなかったり、ということも
大いにあります。もちろん、「事前予告なく変更される可能性があります」と、ちゃんと
記載されていますから文句も言えません。ああ最低。

やってくれますSNCF。ストライキだけじゃないんです。
あっちの故障、こっちのトラブル、事故・・・遅延や運行中止は日常茶飯事、
大きな遅延なら遅延証明書を発行してくれますけれど、
10分や15分では発行してくれません。
会社に、SNCFの事故で・・と言って、信じてもらうしかないです。
だいたいは、信じてくれるみたいですけどね。
寝坊したときの遅刻の言い訳に、SNCFの遅延は使えません。
だって、あまりにも、リアル遅延が多すぎますもん・・・
ただ、遅延と言ってもいろんな事情があります。
天候不良による遅延(雪が降ったくらいでなぜ遅延する?毎年のことでしょうに)
秋には、落ち葉による遅延、というアナウンスもありました。乗客爆笑。
もちろん、というか、これが圧倒的に多いのですが、さまざまな故障による遅延。
あと、残念ながら、事故、自殺者による遅延、というのも少なからずあります・・・

去年、生まれて初めて、自殺現場に乗り合わせてしまいました。
バタバタバタ、と、石ころが電車にぶつかるような音がして、電車が急停車しました。
そのあと、何のアナウンスもないまま10分ほど停車した後
事故が起きましたので申し訳ありませんが当分停車します、と言うアナウンスが入りました。
わたしには、何が起こったのか全く分からなかったのですが
こういうときには、事情通が必ずいるもので、乗客の一人が
「自殺者だよ。間違いない。これから、救急車と警察が来て処理するまで待つしかない。
1時間は堅いね。」と車内にアナウンス。乗客たちはもちろん溜息。
でも、どうしようもないです。もちろん、外には一切出してもらえませんしね。
ときどき車窓から、警察や救急隊員の姿を覗いてみたり、あとどれくらいかしらねえ、など
話したりしながら時間をつぶしました。
結局、1時間半ほどの遅延でした。
この場合は、大変ご迷惑をおかけしました、というアナウンスが流れたほかには、
遅延証明が貰えるだけで、ただただ、最低な場に居合わせて不運だったと言うしか
言いようがありません。

でも、最近は、サービス向上に力を入れるSNCF、故障による遅延ですと、
なんらかのフォローがあります。
先日、朝の出勤の電車が、電気系統の故障とかで、1時間15分遅延しました。
「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。モンパルナス駅にて、
温かい飲み物を用意しております」とのアナウンス。
ほお、そりゃまた、親切な。
私を含め、ほとんどの人が、出勤途中だったはずですけれど、
会社には既に大遅刻しているのだから、
この際、後10分遅れたところでどうってことない、てなもんです。
駅に着いたらすでに、案内所の前に、大きな飲み物コーナーが準備されていまして
みんな仲良く、コーヒーとクロワッサンを楽しみました。

そういえば、1月に、ボルドーへ行った時の帰りのTGVは急な大雪のせいで、
2時間遅れたのですけど、お詫びの言葉だけでしたね。お茶もお弁当も何もなし。
夕方発の電車だったんですよ。お腹が空きましたよ。ええ。
天候不良は免責、ということでしょうか。

先週はブリュッセルへ行きました。タリスという国際線でして
ベルギー、ドイツとの共同経営で、パリからブリュッセルを経由しケルンへ繋がります。
こちら、乗り心地も良ければサービスも悪くないし、トラブルも少ない、と、
なかなか評判の高い列車です。
わたしは、TGVに乗るよりタリスに乗った回数のほうが多いというほど、
よく利用し、今までずっと快適な思いをさせてもらっていましたが、
今回ついにやられましたね。
それは、帰路のことでした。ブリュッセル出発が18時30分、
パリ北駅に20時に到着し、我が家には21時半ごろの帰宅予定でした。
定刻に発車し10分から15分くらい走ったところでスピードが下がりだし
ついに停車。「トラブル発生のため、少しお待ちください」と、即時アナウンス。
その後、10分おきくらいに「申し訳ありません。まだもう少しお待ちください。」
とのアナウンス。訛りのあるフランス語と、ドイツ語と英語。
車掌さんはドイツ人なのでしょうか。
(この電車はケルン発、ブリュッセルを経由しパリに行く電車でした。)
律儀に何度もアナウンスを繰り返します。

気が付いたら既に1時間近くたっていました。
そして「この電車は最終的に故障しました」とのアナウンスに車内爆笑。
で、どうなるわけ?と、野次が飛びます。
「この電車は、モーターが完全に故障し、電気系統が全く動きません。
今、ブリュッセルから牽引車が向かっております。
この電車は牽引されてブリュッセルに戻り、皆様はそこで別のタリスに乗り換えて
パリに向かっていただきます。大変ご迷惑をおかけしますが、どうぞご協力ください」
協力もくそも、従う以外にないやんか。と再び野次。
でも、ブリュッセルから大して離れていないからよかったやん、
これが、ちょうど中間なら最悪やったで。という楽観的な声も。

電気がつかないので車内は暗く、トイレも暗く、暖房は効かないのでだんだん寒くなるし
食堂車に行っても暖かい飲み物はサービスできず、かなり悲劇的状況の中、待つことさらに
1時間。牽引車が到着。牽引が始まるまでにさらに30分。この時点で既に22時です。
「牽引車は時速30kmしか出せません・・・ご迷惑をおかけしますがご了承ください」
さすがにMon Dieu !!!の声が聞こえました。大騒ぎしていた子どもたちはすでにぐったり。
そしてブリュッセルに戻ったのが23時。
到着10分前に、律儀なドイツ人車掌の、長いアナウンスが流れました。
「みなさま、ドアは自動であけることができませんのですべて手動で開けます。
ステップも出せませんので足元にはどうぞお気を付けください。
タリスは同じホームの反対車線に待機しております。同じ車両の同じ席におかけください。
みなさまのために、軽食の用意もできております。
ブリュッセルでもう一泊して明日パリに戻ろうとお考えの方も
いらっしゃるかもしれませんが、パリにて、宿泊先やタクシーなど、
すべての便宜を図らせていただきますので、どうか、予定通りパリへご出発ください。」
ふむふむ、なかなかわかりやすくてよろしい。

ここからは恐ろしく早かったですね。
みんな、手際良く荷物をまとめ、移動します。男性たちはいち早く降車して、
お年寄りに手を貸してあげたり、小さい子供がいるお母さんを手伝ったり。
出発したのは23時10分くらいだったと思います。
このたびは、トラブルによる遅延のために、大変ご迷惑をおかけしました。という
お手紙つきの、立派な軽食セットが配られたのには大笑いしました。
だって、23時ですよ?
実は、わたしは1等車に乗っていたので、すでに車内食を頂いていたのです。
タリスは国際線ですから、たとえ1時間半の距離でも、一等席では食事が出ます。
タリスの食事はおいしいんですよ。わたしは、一度味をしめて以来、タリスに乗るときには
必ず1等席に乗ります。料金も、早めに予約をすれば、2等席とほとんど変わらないんです。
機会がありましたら是非お試しください。
とにかくそういうわけで、わたしは、お腹が空いていなかったので
軽食セットを見て笑ったわけですが
そういえば、20時に到着する予定だったのですから、
お弁当持参の人などいなかっただろうし、2等席の人たちは夕食を食べ損ねたわけです。
そうか、この軽食セットは配られて当然と言えば当然なんだ。
妙に納得しながらも、私は食べたくなかったので、話のタネに、お持ち帰りさせて
いただくことにし、代わりにと言ってはなんですが、ワインだけは遠慮なく頂き、
そうこうしているうちにあっという間にパリに到着したのが0時30分。

ぞろぞろと降車しますと、到着ホームには「ホテル」「タクシー」という
二つのカウンターが出来ていました。
どちらも要らない、という人もきっといたのでしょうけれど、
4分の3くらいの人は並んだと思います。
もちろん、うんざりするほど長蛇の列ができあがります。
でもね、早かったですよ。到着前に車掌がすべての乗客に聞いて回っていましたから、
すべての手配ができていたのでしょうね。
切符を見せて、ホテルなら何名一室であることを告げ、ホテル券をもらうだけ。
タクシーはもっと早い。タクシー券をもらうだけ。
ほおお、なんと敏速。日本並みのサービスじゃないですか。
わたしはホテルにしました。翌日は祝日でしたしね。この際、ゆっくりもう一泊。
徒歩5分の距離のホテルに到着したのが午前1時ごろ。
清潔なホテルでしたし、朝食までついていましたし、快適快適。
というわけで、大変だったのだか、却って面白い経験をさせてもらったのだか、
よくわからない旅でした。

SNCFのトラブルには少なからず遭遇しておりますが
共通して言えるのは、不快感をあらわにしたり、どなったり、責任者出てこい、的な
物言いをしたりする人がいないということです。
単なる偶然なのかもしれませんけれど。
トラブルで電車の中に閉じ込められていても、いつも、必ず一人は、
人を笑わせるのが好きな人がいて、その人が同じ車両に乗り合わせている乗客たちを
和ませる。そんな感じです。
だから、私は今まで、フランスの電車でトラブルに遭っても、
散々な思いをした、もう二度と嫌だ、と、そんな風に思ったことはないのです。
いえいえ、わざわざ遭いたくはないですよ。
できれば、避けて通りたいです。ええ、もちろん。

MAO@ふらんす

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◇◆次回は4月12日(金)スペイン・バルセロナ郊外から配信予定です◇◆
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【北米・オセアニア編】【中南米・アフリカ編】【アジア編】
          【出戻り邦人】もよろしくね 

               ◇◇◇詳細は下記のHPで◇◇◇ 
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