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【出たっきり邦人 欧州編】1170 イタリア

【出たっきり邦人 欧州編】1170 イタリア

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■□■□■ 出たっきり邦人・欧州編・2013・03・12・1170 ■□■□
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                      ◇◆乙編◇◆ 

               〓イタリア・ヴェネツィア発〓
                    水、ゆらりゆらり
 
その68 2つの選挙と空転イタリア

今日3月12日より、ヴァチカンでは新法王選出のための選挙、コンクラーヴェ
が始まります。決定の有無を知らせる白黒の煙の、第1回は現地時間で今日19
時から20時(日本時間で翌13日午前3時から4時)ということで、もし一発で
決まれば、このメールを読んでいただいた数時間後にも、新しいローマ法王が
発表されているかもしれません。
選出こそ選挙であるものの、終身制が原則であったローマ法王の交代について、
たとえば前々法王ヨハネパウロ2世が亡くなった2005年4月のことは、とて
もよく覚えています。しばらく前から体調不良が心配されていたヨハネ・パウ
ロ2世はカリスマ的存在で広く深く慕われていたこともあり、いよいよ亡くな
ると弔問の信者たちがローマに続々と大集結。何百万という人々がヴァチカン
のサン・ピエトロ大聖堂前の広場とその周辺を何日も何日も埋め尽くしたので
した。世界的大スターが亡くなっても、こうはいかないだろうという、それは
もう驚くべき光景でした。(私はテレビで見ていただけですが)
今回はずいぶんと様子が違います。まず前法王ベネディクト16世は、ヨハネパ
ウロ2世の人気には遠く及ばなかったこともありますが、変な言い方ですが、
亡くなっていません。2月28日に、自ら望んで「引退」。ですが、まずそれ自
体、600年という歴史的出来事だったこと、また、その公認を選ぶコンクラー
ヴェ、そしてそこに引き続き行なわれるはずの新法王発表、就任式、最初のミ
サ・・・と、やはりしばらくは世界中の注目を集める行事が続きます。このメ
ディア戦争時代においてヴァチカンは、このまま、少なくとも月末に迎える復
活祭(イースター、イタリア語でパスクワ)まで、ホット・スポットであるこ
とは間違いありません。

「熱い」のはヴァチカンだけではありません。そのヴァチカンを内部に含む
ローマもまた、先の選挙で、中道左派、中道右派に、既存の政党政治にノーを
つきつけた「5ツ星運動(Movimento 5 stelle)」党が大きく票を延ばし、上
院・下院でそれぞれ若干構成は違うものの、ほぼ三つどもえ。
「勝って負けた」と評された、辛うじて第一政党となった中道左派は、「5ツ
星」に連合政権を求めているものの、「5ツ星」側は(今のところ)歩み寄り
を見せていません。

その選挙の数日前に、ミラノにいたときにたまたま、ドゥオーモ広場で注目の
「5ツ星」党の代表のベッペ・グリッロ氏の演説があるというので興味本位で
見に行きました。テレビで見ていると、元お笑い芸人だというグリッロ氏は、
ただひだすら、(風貌のためもありますが)ライオンのように大声で吠え続け
ている人というイメージ。声を荒げてひたすらしゃべる人、というタイプが個
人的に苦手なせいもあって、なんとなく好きになれませんでした。
実際に行ってみると、広場は、思っていたよりは人が少なかったのですが、そ
れでも数千人はいたようです。驚いたのはグリッロの吠え声でなく、応援に、
あるいは演説の見学にきていた人たちの中の(全員ではなく一部ですが)熱狂
的な盛り上がり。
とくに、選挙権がぎりぎり手に入ったばかりかと思えるような、若い男の子た
ちがかけ声をあげている様子は、まるでロック・コンサートか何かのよう。政
治的な応援というよりは、やはりグリッロが単に有名人だからではないか、こ
の人たちのいったい何割が実際投票に行くのだろう?・・・なあ〜んて疑って
いたのですが、ふたを開けてみるとこの通り、結果は大躍進。
ただ、「不満を持つ人の党」と揶揄されるように、確かに、今の政治には反対、
だけど、ではどうしたらいいのか、どうしたいのかが明確にあるわけでも、党
内ではっきりと目標が固まっているわけでもありません。彼らが政権を握れば、
何もかも理想的・・・というわけにはいかないようです。
組閣、そして当面の財政対策など、いったいどうなるのか全く予想のつかない、
まだまだ当面混迷の続くイタリア。一方、ヴァチカンの方は、コンクラーヴェ
という密室での中世並みの選挙、そもそもそこに至るまでの煩雑な手続きは、
いかにもイタリアのお役所仕事に見えますが、一旦新しい「法王」が選出され
れば、精密で強固な組織のトップに彼を据えて、またあらためて、全世界が決
して無視できない、巨大な「王国」として動き始めるでしょう。

キリストの「復活」を春の到来になぞらえて祝う復活祭。3月31日と、今年は
ちょっと早めの復活祭をどんな風に迎えることになるのか、イタリアにとって
落ち着かない3月となりました。

それではまた。

日々の様子については、随時ブログでご紹介しています。

萌香

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moeca-ve@hotmail.com
ブログ:http://fumiemve.exblog.jp/

◆次回は3月15日(金)オランダ、アイントホーフェン郊外から配信
予定です◇◆   
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【北米・オセアニア編】【中南米・アフリカ編】【アジア編】  
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     ◇◇◇詳細は下記のHPで◇◇◇      
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