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【出たっきり邦人 欧州編】1186 ドイツ

【出たっきり邦人 欧州編】1186 ドイツ

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             ◇◆乙編◇◆
             

         〓ドイツ・デュッセルドルフ発〓


         <ビールだけがドイツじゃない?>


         第50回 頑張れ、マラソン!!


4月15日(月)、ボストンマラソンで発生したテロ事件。6日後の4月21
日(日)に参加を予定していたハンブルグマラソンの練習から帰ってきた
小生が相方から知らされたその一報…。誰がこんなことを、そして小生の
愛するマラソンがどうして狙われたのか…。知らせを聞いた時は頭が混乱
してしまいました。そして、火曜日・水曜日になってもそのモヤモヤした
気持ちは取り払われず、練習にも身が入らない日々。自分には関係ない所
で発生した事件とは言え、心からマラソンを愛するランナーとして、いく
つもの思いが頭をよぎります。


そんな中で迎えた本番当日、さすが北ドイツ最大のマラソン大会だけあっ
て、1万5-6千人ほどのランナーがスタートに集結しました。スタートに
先立ちボストンマラソンで犠牲になった方への黙とう、その後会場にはNeil 
Diamondの「Sweet Caroline」という曲が流れました-ボストンを勇気付ける
ような心が温まる曲なので、一度聞いてみてください。


そして午前9時にマラソンがスタート。赤いじゅうたんを駆け抜けて一路
ゴールを目指します。天気は快晴、気温は10度くらいで少し涼しい程度、
太陽がまぶし過ぎるのを除けば、マラソンには最適の天気です。数キロ走
ると北ドイツ最大の繁華街であるレーパーバーン。夜には酔った人達
とネオンでにぎやかな場所ですが、日曜の朝9時過ぎということもあり、
もぬけの殻。さすがにこの時間に(まで)酔っている人達は皆無です。


10kmくらいでしょうか、港町ハンブルグらしい港湾地域を走ります。実際
の港は街から少し離れているので船はあまり見えませんが、運河や古い
レンガ造りの倉庫街、そして傍を通る列車の高架橋…。公私にわたり何度
となくこの街を訪問していますが、何度見ても飽きません。


15km位でハンブルグ中央駅を通過。ドーム式天井の駅で、アナウンスがそ
の天井に響く、幻想的な雰囲気を醸し出す駅。その中をひっきりなしに出
入りする列車と乗客…。小生ドイツのいろいろな駅を見てきましたが、
お気に入りの駅の一つです。


マラソンの話に戻りますが、中央駅前の普段は車しか通れないトンネルを
通過。タッタッタッというランナーの足音だけが響く、不思議な空間を通
過し出口を出ると、次の見所、アルスター湖です。ハンブルグの街の中に
は2つの湖(内アルスター湖と外アルスター湖)があり、主に内アルスタ
ーは観光地に近いこともあり観光客を乗せた遊覧船などが走っていますし、
外アルスターはハンブルグ市民のヨットやカヌーの為の憩いの場所となっ
ています。沿道には日曜朝午前にもかかわらず、大勢の観客が応援して
います。


ところで、気づくと目の前にはハンドバイク(=手漕ぎ自転車とでも言う
のでしょうか)のランナーがいました。午前9時スタートのマラソンより
10分早くスタートしたハンドバイカーの最後尾の人でしょうか。平地では
小生の方が速く、少しでも下りになるとバイカーの方が速く(手で漕がな
くとも転がっていくので)、勝手に競争してしまいました。実はその時既
に小生疲れ気味だったので、このバイカーと競争することで失速を少しで
も防げました。助かった…。


ところでマラソンは20kmに差し掛かります。進行方向右手には、ハンブル
グ在住の友人夫妻が見えました。彼らとは前日に打ち合わせをして、その
打ち合わせ時に言っていた場所でしっかり待っていてくれたのです-これ
も走る力になります。


その後しばらくは外アルスター湖の東側に沿って静かな住宅街を北上し、
ハーフ(21km)の地点を予定通りのペースで通過。そうするうちに、住宅街
が少しずつ緑や公園に変わり、走っているのが気持ちいいくらい、と言い
たいところなのですが、さすがに20km以上も全力で走るとそんな余裕はな
くなります。さらに、日曜の午前中にもかかわらず、天気が良いからなの
か、ビールを飲んで宴会もどきの人々や、さらにはバーベキューの煙の匂
いまで…!小生もマラソンを止めて飛び入り参加したいくらい、誘惑の多
い地域に入ってしまいました。


ところで小生、最初のマラソンを始めてからかれこれ7年になるのですが、
ストップウオッチを持たず、自分用のドリンクを身に着けることもなく、
体一つで走っています。本来なら1km毎のタイムを計測してペースをチェ
ックし、栄養やスタミナのことを考えて途中で飲むためのドリンクを持っ
て走るランナーもいるのでしょうが、あまりいろいろと身に付けると重そ
うな気がして、今まで付けていません。ですので、沿道にある給水所が唯
一の栄養補給所、オアシスのようなものです。暖かい時期のマラソンであ
れば2-2,5kmおきに1箇所、冬のマラソンであれば5kmに1箇所給水所があ
り、そこでドリンクを飲むたびに次のオアシスまで頑張ろうと言う気にな
ります。


しかしドイツのマラソンではコーラが出てくるんです。ランナーにとって
このコーラ(炭酸) は魅力的なものでもあり、かつ大敵でもあり-炭酸を
飲むと一瞬スッキリするのですが(特に疲れ果てている体には) 、その後
は走れなくなります(食道や胃の中で炭酸がダンス!します)。そして今
回のハンブルグマラソンでもありました、コーラ!いかにしてコーラを取
らないようにするか、自分との戦いです。


前半早く走り過ぎたのか、後半どんどん他のランナーに追い抜かれつつ、
35,36km…。ハンブルグ郊外から再度市内の方向へ走り続けます。閑静な住
宅街を通過しているうちに、左側にイラクの総領事館を発見。それと同時
に前述の友人夫妻がまた居ました!再度予定通りの場所で待っていてくれ
ました、ありがとう!また今度ゆっくり話そう、とだけ言い先へ急ぎます。


あとはゴールを目指し39,40km…。コースの先にはゴールとなるハンブルグ
アリーナに隣接しているテレビ塔が見えてきました。やっと、やっとゴー
ルです。


40km地点の電光掲示板を見ると、過去最高のペースで到達です。自己記録
を更新することは確実なので、あとは何分縮められるかということだけを
考え、重くなった足にムチを打ち、走り続けます。しかし小生の後半の失
速ぶりは顕著で、多くの人に後半抜かれてしまいました-今後の課題です。


そしてコースを右に曲がるとスタート地点と同じ所にあるゴールが見え、
スタート時に通った赤いじゅうたんを再度駆け抜けゴール(ゴール付近で
最後まで待っていてくれた相方に大感謝!)。今までの記録を3分更新し、
小生の当面の目標(2014年中に3時間を切る)にまた近づきました。今まで
小生40回以上マラソンに参加しましたが、ハンブルグの人々の応援は温か
かった…。同時に、小生と同じようにゴールした人達を標的にしたボスト
ンの惨状に対して、本当に言葉がありません。小生、何があってもテロに
は屈しませんし、マラソンを走り続けます。


私事ですが、今年2013年は全部で10回以上のマラソンを予定していて、
このハンブルグマラソンは4回目です。次は6月に2回なのですが、
それぞれ夜の6時とか7時のスタート(夏のヨーロッパは夜10時になって
もまだ薄暗い)、と午前中にスタートするマラソンとはまた異なります
が、これからも記録更新を目指して練習に励みたいと思います。


皆さんもぜひ体を動かしてみて下さい-ウオーキングでもジョギングでも
いいのです、体を動かすことで日ごろのストレスやモヤモヤした気持ちが
なくなり、そして、足の裏を刺激することでいつもは思い浮かばないアイ
デアとか解決方法も見つかること、間違いありません。


Pride Berliner


ご意見・ご感想をお寄せ下さい。


pride-berliner2007 hotmail.co.jp
(2007とhotmailの間に@を入れてお送り下さい)


◇◆次回は6月4日(火)イタリア/ベネチアからの配信予定です◇◆
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【北米・オセアニア編】【中南米・アフリカ編】【アジア編】
          【出戻り邦人】もよろしくね 

               ◇◇◇詳細は下記のHPで◇◇◇ 
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       各種問い合わせ先:oushuhen@hotmail.com

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電子出版 :出たっきり邦人【欧州編】
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発行責任者:欧州編ライター一同 連絡先:oushuhen@hotmail.com
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【出たっきり邦人 欧州編】1187 イタリア

【出たっきり邦人 欧州編】1187 イタリア

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■□■□■ 出たっきり邦人・欧州編・2013・06・04・1187 ■□■□
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◇◆乙編◇◆ 

〓イタリア・ヴェネツィア発〓
水、ゆらりゆらり
 
その68 ヴェネツィアで、社交界


世界の大観光地ヴェネツィアでは年に何度か、世界の大社交界が繰り広げられ
ています。
毎年8月末から9月初めにかけて行なわれる映画祭がその1つ。映画祭の期間
中、上映される映画の、監督やスターたちが続々とレッドカーペットに登場し、
公式上映に立ち会うだけでなく、そんな彼らを招いて、あちこちでプライヴェ
ートのセレモニーやらパーティーやらが開かれるので、一流レストランやイベ
ント会場、ケータリング・サーヴィスは大忙し。そしてたくさんのミーハーや
パパラッチから彼らを遮断する、水上タクシーもまた満員御礼空車ゼロ、な状
態となります。

ほぼ同じことが起きるのが、ビエンナーレのオープニング前。このヴェネツィ
ア・ビエンナーレとは、隔年で行なわれる国際現代美術展のことで、奇数年の
6月から11月にかけて、ヴェネツィア市内の主会場2つのほか、町の中のいろ
いろな建物や場所を使ってさまざまな美術展示が行なわれます。今年はちょう
ど先週の土曜日、6月1日に開幕したばかりです。
ビエンナーレについては、ずいぶん前ですがこのメルマガで紹介していますし
(http://www.geocities.jp/detaeurope/bnmoeca02.html)
今年の詳細については、またブログで追々ご案内していく予定なのでここでは
割愛するとして、今回は、なぜアートにセレヴ?というところの種明かしをし
ましょう。

世界的な不況が続く中、ファッションはイタリアの主要産業の1つであること
は変わりありません。
かつて日本では重厚長大メーカーや大財閥、そしてバブル時代には金融機関が、
その余剰資金を美術品の購入に充てたりしたのと同様に、今、イタリアで辛う
じて文化活動に資金を投じる余裕があるのはファッション業界のみです。
例えば、靴など皮革製品の高級ブランド、トッズがローマのコロッセオの修復
費用の一部を負担することが(いろいろすったもんだの末)決まったのを筆頭
に、どこも、歴史的遺産の修復などには積極的です。もちろん、その莫大な広
告宣伝効果を狙ってのことでしょう。
また、グッチやフェラガモなど、自社の歴史を保存、公開するための美術館を
持っているほか、プラダやトラサルディなどなど文化活動のための財団を設立
して、そこで自社にとどまらない、美術品を保有するところもあります。
その筆頭が、なんといってもフランソワ・ピノー財団。イタリアではなく、フ
ランスの組織ですが、代表のフランソワ・ピノー氏は、ファッション界を分け
る3大グループの1つで グッチやイヴサンローラン、ボッテガヴェネタなどを
傘下に持つ、 PPR社の元会長。そのピノー氏は、もともと現代美術のコレクタ
ーであることで知られていましたが、2007年にヴェネツィアでパラッツォ・グ
ラッシ、2009年にプンタ・デッラ・ドガーナとそれぞれ歴史的建造物の権利を
得て、安藤忠雄氏の設計によりそれぞれ、現代アートの企画展会場としてよみ
がえらせました。とくに、元・税関で三角形の建物という特殊性に、安藤忠雄
氏らしさがよく出ているプンタ・デッラ・ドガーナは、ヴェネツィアの新しい
名所として既に定着しつつあります。

ヴェネツィア市内の美術館はどこも、ビエンナーレの開幕に合わせて新しい展
覧会を開きます。プンタ・デッラ・ドガーナもその1つなのですが、そのオー
プニング・パーティーとして、そんなセレヴたちが招かれるというわけです。
なにしろファッション界の大御所ですから、ハリウッド・セレヴたちはみんな
お友だち。
今年はナオミ・キャンベル、レオナルド・デカプリオがきたとか。
プンタ・デッラ・ドガーナはサン・マルコ方向を見渡す絶好の見晴らしのテラ
スがあり、(通常は立ち入り禁止)脇にたくさん、ヨットが停められる立地に
も恵まれています。そう、この時期の特徴として、停泊中の豪華ヨットの数も
あげられるでしょう。 中には、もちろん船上パーティーもあります。 という
のも、そういったパーティーはピノー氏のところだけではありません。各団体
がこぞって趣向をこらし、セレヴを呼んで話題を集めます。

一庶民としては実際は、そんな華やかなセレヴたちのお顔をちらっと、TVニュ
ースや新聞で拝見するだけです。VIP中のVIPである彼らは、間違ってもヴェ
ネツィアの町の中をふらふらと散歩したりはしていません。
ただ、レストランやホテル、水上タクシー、あるいは警備会社などで仕事をし
ていれば、そんなVIPを間近で見る機会がないとは言えません。その高揚感、
期待感が、ヴェネツィアで働く多くの人々の原動力となっているのかもしれま
せん。

ではまた。

日々の様子については、随時ブログでご紹介しています。

萌香

ご意見、ご感想をお待ちしております。
moeca-ve@hotmail.com
ブログ:http://fumiemve.exblog.jp/

◆次回は6月7日(金)オランダ、アイントホーフェン郊外から配信
予定です◇◆   
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【出たっきり邦人 欧州編】1183 イギリス

【出たっきり邦人 欧州編】1183 イギリス

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            〓イギリス・ケント発〓

            『万華鏡』 第103回 

             <鉄の女の教え>

去る4月8日、英国元首相であったマーガレット・サッチャー女史が脳卒中
のため、滞在先のリッツ・ホテルで亡くなりました。享年87歳でした。

私が渡英した1984年当時の首相であったサッチャーさん。10年前に愛する
旦那様を失ってから元気がなくなり、色々な病状の話がメディアで流れていま
したが、訃報を耳にしたとき、もちろん悲しみましたが、再び愛する旦那様と
合流されたことに、ホッとする気持ちも私にはありました。

4月8日は私たちの結婚記念日でもありました。結婚渡英してちょうど29年。
主人が敬愛するサッチャーさんがこの日に逝去したこと、偶然とはいえ、私は
結婚、そして夫婦のあり方について、様々なメディアに接しながら考えていた
のでした。

不安と期待が混ざった感情を持って関西伊丹空港を発ち、香港、そしてバーレ
ーン経由でロンドン・ガトウィック空港に到着した若かりし日の私。死ぬ覚悟
で行け!という父の言葉が新婚の私の頭の中を何度も横切りました。イギリス
上陸間近、キャビン内のスクリーンにイギリスのニュースが放映され、真っ先
にアーサー・スカーギル氏の顔、続いてサッチャーさんの顔が映っていたのを
はっきり覚えています。あっ、サッチャーさんだ、本当にイギリスまで来てし
まったのだと実感した瞬間でした。

当時は全く意味が分からなかったのですが、それは炭坑労働者組合とサッチャ
ーさんの対決時期だったのです。先のフォークランド戦争で勝利を収めたもの
の、国家建て直しのための荒治療をサッチャーさんは実行していたのでした。

衰退の道をたどり、斜陽国と揶揄されていた英国を、鉄の意志で持って国家を
改革していった偉大な政治家。もちろん多くの敵も作り、彼女が憎いと思う国
民もたくさんいます。荒治療でしたから、犠牲になったものも多く、憎悪が個
人的な感情に基づくようになっても仕方ないと感じます。

しかし、彼女の英国に対する愛国心は揺るぎないものであったことは、誰もが
認めるところです。国際舞台でも大活躍し、英国に再び栄光をもたらしたので
した。あの時代はサッチャーさん、レーガンさん、それに法王パウロ2世が作
り上げたもので、それによって実にたくさんの庶民の生活が向上したとさえ言
われています。

「斜陽国」に嫁ぐのを心配した父も、三年後にはイギリスを訪れ、孫に初めて
会って喜んでいましたが、それ以上に、私がこの「斜陽国」で板についた生活
をしていることに非常に安心したのでした。

イギリスが「斜陽国」から脱出できたのも、サッチャーさんのおかげだったの
です。当時はただ必死に生活をしていただけでしたが、思えば、様々な国営企
業が民営化されるたび、少額の貯金を下ろして株を買っていました。「小さな
政府」をモットーに、国民がもっと自分の足で立ち、自力に頼るように促せ、
そして自由で色んなチャンスと選択肢を与えるために、主婦の感覚を保持しな
がらサッチャーさんは英国を治めたのでした。

結婚初期にいた私は、このサッチャーさんの哲学からの影響を受けていたと今
気づいています。自分への自信が弱く、劣等感もたくさんあった私がイギリス
で強くなったのも、潜在意識の中にサッチャーさんの姿と教えがあったからだ
と今は感じるのです。

彼女の鉄の意志は幼少の頃から芽を出していました。中流階級とはいえ、非常
に敬虔なクリスチャン一家で、商売上手だが守銭奴的な父親、それに向上的で
ない母親の下で育ち、何も不自由はありませんでしたが、彼女からすれば、そ
れは息の詰まる環境であり、そこから脱したい強い意志が彼女にはあったので
した。三つ子の魂百まで、彼女の鉄の意志は最後まで貫かれます。

ティーンになる前からエロキューションのレッスンを受けていたとのことで、
早い時期から地元グランサムのアクセントを取りたかったようです。サッチャ
ーさんの話す英語にはいつもうっとりしていましたが、そうだったのか、と今
は納得しています。

頭脳明晰だったので、グラマースクールへ進み、クラス内でよく手を挙げる優
等生でいました。そこからオックスフォード大学に進みましたが、これといっ
た親しい友人を持つことはなかったそうです。女性であっても、やはり一風変
わっていたのかもしれません。しかし、他と変わっていたからこそ、偉大な政
治家になることができたのも事実でしょう。

政治が自分に一番向いていると悟ってから保守党へ入党し、総選挙で私の住む
ケント州のダートフォードという町で立候補しました。1950年のことです。
政敵労働党の強力基盤地域であったダートフォード市、もちろんサッチャー
さんは当選しませんでした。しかし、それは始まりであり、そこでサッチャー
さんは後に旦那様となられるデニスさんにも出会ったのでした。

資産家でもあったデニスさんのおかげで、サッチャーさんは保守党内で頭角を
現すようになっていきました。野党としての党首に当選し、やがて英国初の女
性首相になり、1990年の退陣まで、睡眠時間は4時間と豪語するほど、繁忙な
日々を過ごしていましたが、「デニスがいたからできた」とサッチャーさんは
何度も話されていました。

政治家を妻に持つ夫、首相を母親に持つ子供たち、サッチャーさんのご家族に
とっては、私たち凡人には想像できないご苦労がたくさんあったと思います。
特に娘さんは母親とかなり衝突したようです。しかし、娘さん自身も加齢した
今、難しい母親でも、母親を失った哀しみにむせび泣いていることでしょう。

息子さん夫婦からお孫さんが生まれ、祖母になったサッチャーさんは大変喜ん
でおられた様子がニュースで報じられていました。娘さんより息子さんのほう
を贔屓に扱っていたことはよく知られています。首相の立場を利用して、息子
さんに利を図ることもあったようですが、手のかかる息子はいくつになっても
可愛いのかもしれません。サッチャーさんも母親だったのです。

「デニスがいたからできた」、そう語るサッチャーさんを妻に持ったデニスさ
ん、いつもニコニコとして妻の側に立っていました。秘訣は何ですか、という
ジャーナリストたちの質問に、「そこにいて、そこにいない」とデニスさんは
答えましたが、妻が政治家・首相として活躍できるように、陰になり日向にな
りして、何十年もサポートし続けたのでした。なかなかできないことだと思い
ます。

サッチャーさんをウェストミンスター寺院に埋葬すべきと唱えていた人もたく
さんいましたが、遺言通り、サッチャーさんはデニスさんの側で永眠すること
になりました。首相官邸ダウニング・ストリート10番地で繁忙な生活を送っ
ていたころ、一日の終わりにデニスさんはウィスキーを注いで、妻の疲れを癒
していたそうですが、きっと今は天国でお二人でウィスキーのグラスを交わせ
て、地球で体験したことを語っているかもしれません。

20数年前と比べ、確かに私たち庶民の生活の質は向上し、様々なチャンスに
溢れています。技術が進展しているからですが、そんな技術の開発や市場での
販売など、すべてをまとめるのが政治家の仕事ですね。政治家は楽な仕事では
ないですが、導いた末の技術進展は、他の問題も孕むものです。

サッチャーさんの訃報が飛び交った後、歓喜で迎えた人々の態度には驚きまし
た。情報が瞬時で広まる現代、そして誰もが自分の意見をツィッターやフェー
スブックを始めとするソーシャルサイトで述べられるため、もう逝去されたの
に、延々とサッチャーさんの悪口をたたいたり、その死を喜ぶ無神経さに、多
くの人も辟易していました。

イギリスでも、De mortuis nil nisi bonum (ラテン語で死者の悪口は言わ
ない)という礼儀があります。道徳観が下がっている昨今とはいえ、ここま
でイギリス人も落ちぶれたのか、という嘆きの声も高く聞こえました。

しかし、サッチャーさん本人はどう思ったでしょう。現首相キャメロン氏への
最後のメッセージは、「もっと嫌われなさい」だったそうです。総選挙に三度
勝利し、11年という最長の首相を務めたサッチャーさんは、自分の政策が日
の目を見るためには、大いに嫌われることが必要だと捉えていたそうです。
大物の考えることは違うものです。

マザー・テレサが言っていましたね。愛の反対は憎しみではなく、無関心であ
ると。憎しみも立派な感情。暗殺されかかったことがあっても、自分の信念を
貫きとおした鉄の女にとって、憎しみもまた、自分への関心だったと捉えてい
たのではないかと思います。

ロングランのミュージカル『ビリー・エリオット』は、1984年当時の炭坑労
働者組合とサッチャーさんの対決を背景に描いた作品で、その中でサッチャー
さんを大いに罵倒しています。皮肉った歌にもなっています。名誉毀損など
狭苦しい感覚はなく、生前からそれを許していたサッチャーさんの寛大さに
今更脱帽するのです。

だから、彼女の死を巡って喜ぶ態度も、彼女からすれば、「ホホォ、またやっ
てるか」という程度のものかもしれないと感じるのです。しかし、そんな人
たちはやはりマイノリティであり、葬儀には何の影響も及ぼしませんでした。

サッチャーさんが逝ってから、あのヘアスタイルが流行っているそうです。パ
ワーアップした気分になるということですが、カリスマ性いっぱいのサッチャ
ーさんはフェミニズムには興味なくても、フェミニンでした。髪はデニスさん
が好きなブロンドに染め、必ずスカートを着用していました。話上手で機知に
富み、多くの女性が憧れるのも無理ありません。

私も彼女に憧れていました。外見ではなく、先に述べた彼女の哲学、美しい英
語、鉄の意志、そして対等者には厳しいが、下で仕える人々には非常に暖かく
て優しい面。

このたびの訃報を通じて、私の息子・娘たちも、斜陽国時代の70年代を体験
した主人から様々なエピソードを聞くことができ、私を喜ばせました。親子間
の真剣な会話はいいものです。そして、夫婦間のサポート、労り、そういった
ことも、サッチャーさん夫婦の様々な逸話を読む中で、大切にし続けていきた
いと感じました。

サッチャーさん自身、国を救ったなどと思っておらず、ただ自分の愛国心を鉄
の意志で実践しただけで、そんなチャンスを与えられたことに満足しているの
ではないかなと感じます。長くて有意義、貢献度も高い人生を歩まれたマギー、
どうぞ安らかにお眠りください。

プリマ

『万華鏡』へのご意見・ご感想はkentprima@hotmail.comまでお寄せ下さい。

◇◆次回は5月21日(火)フランス・パリ郊外から配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1184 フランス

【出たっきり邦人 欧州編】1184 フランス

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            ◇◆乙編◇◆
           〓フランス・パリ 郊外発〓
             移民への道

            ~常識って~

みなさま、こんにちは。お元気ですか?
フランスは相変わらずお天気が悪いです。
お日様が差す日もなくはないのですけどね、3日に10分、というところでしょうか。
大阪のおばちゃんに負けず劣らず、フランス人も、大げさな物言いをします。
「ねえ、お日様っていったいどんな色だったかしら?」と、
おばあちゃんに話しかけられ、「さあ、私も忘れましたよ」と答えておきました。
フランス人は大変オプティミストでもありますので、
今年の夏はきっと暑くなるぞ!という声もよく聞くのですが
この国には一般家庭にクーラーはありませんから、暑すぎても困るのですけれど
でも、太陽がたっぷりの、ちょっぴり暑い夏だとうれしいかも、と、
都合のいいことを考えています。

さて、今回は、この数日ツイッター内で話題になったある事件について
私の思うところを書こうと思います。
いや、事件そのものではなく、事件についての、野次馬連中(私も含む)の、
反応について、と言ったほうが正しいです。
ある、障碍を持った方(A氏とします)が、銀座のイタリア料理店に予約し、
当日、出向いてみたら、
車いすでの入店は他のお客様に迷惑になるからと、入店拒否されました。
で、気分を害したA氏は、ご自分のツイッター内で、
レストランの実名を出して、批判しました。
A氏は、たぶん皆さんもご存じの有名な方です。
このレストランは雑居ビル内にあり大変狭く、
実際問題、車いすでの入店は非常に困難でありました。
ただ、レストラン情報サイト上に、車いすでの入店は困難、またはお断り、と
いうような但し書きはありませんでした。

この件について様々な憶測に批判に同情、言いたい放題の意見が飛び交いました、
-A氏はなぜ事前に車いすで入店することをレストラン側に知らせなかったのか。
もちろん、車いすを利用する人が、レストランに予約する際に、そのことを知らせる義務は
ない。でも、知らせておいたほうが自分のために便利なのでは?
情報サイト上には車椅子についての但し書きがないのだから、当然入れるべき、というのは
ちょっと・・・・違うのではなかろうか。
-A氏は、自分がレストランの実名を挙げて批判することへの影響力をわかっていたはず、
その意図は? よほど、失礼な応対をされたのか。
それとも、ただの嫌がらせか。
-店側はなぜ「入店拒否」するに至ったのか。忙しくて面倒だったのか。
車椅子が無理なら、誰かが抱きかかえてレストランの椅子に着席してもらう、という
選択肢はなかったのか。

この件に関して、私は、レストランの失態、それ以外のいったい何?と思いました。
どんな事情があるにせよ、「入店拒否」したことは事実。
物理的に、入店不可能だったとしても、A氏を納得させるだけの解決策を探さなかった、
または見つけられなかった。
そんなの、お店のミス以外の何物でもないじゃないですか。
「他のお客様の迷惑になる」、という言葉。
本当に発したのなら(それさえ信じがたい)、言語道断です。

「お店が入店拒否をしたことには問題があるだろうけれど、
実際、車椅子で入店するのは難しい店なのだし、A氏が事前に連絡もせず、
しかも、実名を挙げてレストランを非難するのは、有名人としての良識に欠ける。
どっちもどっち。」
このような意見をたくさん見かけました。

これは違うでしょう?
どうして、A氏個人の良識と、
障碍者に対する店の常識(モラル)が、同じ土俵で図られるのですか?
「イギリスなら即訴訟、客側大勝利」、と誰かがツイートし
それに対して、「ここは日本です」、と返した人がいましたが
それもまた、違うんです。外国と日本は違う、そういう問題じゃないんですよ。

こういう事件が日本で起こった時、われわれ在外邦人は、どうしても、
自分の住んでいる国と比較し、
やっぱり日本は素晴らしい、と言ってみたり、日本、違うやろ、と言ったりするのですが、
今回、私を含め、在外邦人たちが一斉に、自分の住んでいる国ではありえないことだと
批判したのに対し、
「この、外国かぶれが」「ここは、フランスではありません」などという
コメントが返っていることに、私はかなりショックを受けました。
もちろんそういう意見も、一部の方々の意見でしかないのでしょうけれど、
そういう考え方があること自体が、私にはかなり受け入れ難く。
在外邦人が自分の住んでいる国を溺愛し、日本を愛していないと思いますか?
むしろ逆のほうが多いですよ。
ただ、日本に住んでいる人と違うのは、若干、客観的な目で
日本社会を見てしまう、という点です。

わたしはフランスに住んでいますから、
やはり、フランスを引き合いに出してしまいますけれど、
場末のうらぶれたビストロの、頭のいかれたアル中のおやじ
(めちゃくちゃな表現ですね)でもない限り、
レストランが、車椅子の客を、入店拒否して怒らせることは、ありえないんですよ。
それは、人のものを盗んではいけない、というのと同じレベルの
絶対的常識、とでも言いましょうか。
キリスト教的モラルから来るもの、確かにそうなんですけど・・・

そして、私が昔から信頼する友人(日本在住)が、
どっちもどっち、的な意見を述べているのを読んだとき、
わたしは、ショックと言うよりは、これはもはや、この私が、
現在の一般的な日本人の考え方から、外れているのかもしれないと、そう思いました。

そうなのか、それが今の日本の人の考え方なのか。
でも違う、どう考えても、何かが違う。
そうして悶々としているときに、ある、台湾在住の人のつぶやきを読んで、
ポトン、と、腑に落ちたのでした。

ご本人の許可を得ておりませんので、一部のみ、文章を変えて抜粋します。

「日本人ってよく気がついて、素晴らしいのだけれど、
迷惑をかけずに生きることについて、常識の名の下での見えないしめつけが、
いささか厳しすぎるのではないか、と、常々思っています。
このことは、妊婦や子連れに対する、世間の風当たりの強さとも
つながってくるのかもしれません。」

何が悪いねん、と、言われるかもしれません。
ええ、悪くないです。善し悪しの問題じゃないんです。
ただ、在外の長い、「フランスかぶれ」のおばはんには、この方の言うことは
うん、確かに、と、大きくうなずけるものでした。

ああ、こうしてわたしは、「普通の日本人」から、どんどん離れていくのかな、と思うと、
寂しくもあり。

MAO@ふらんす

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keiko0904@hotmail.com

◇◆次回は5月24日(金)スペイン・バルセロナ郊外から配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1185 スペイン

【出たっきり邦人 欧州編】1185 スペイン

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              ◇◆甲編◇◆
             
          〓スペイン・バルセロナ郊外発〓

            たまねぎ村に陽はおちて

                第47回(スペインで中国人の先生に…うたれた)



みなさん、オラー。オラー、というのは、スペイン語で、こんにちは!です。

お店に入るときも「オラー!」先生と学校で会っても「オラー!」取引先の人との
挨拶も「オラー!」便利な言葉ですね。日本語にもこれくらい気軽な挨拶の言葉が
あればいいのに、と思います。

さて。今日は、わたしは中国人の鍼の先生のところへ行ってきました。肩こり、
首こり対策。ぷすっぷすっと刺す、あの、中国3000年?4000年?の歴史の、
あの、鍼ですね。って、説明になっとらんのですが。そもそも鍼はどれくらい歴史が
あるのか?今度先生に聞いてみます。(自分で調べろって?)

実は自分のたまねぎ村にも日本人の鍼の先生がいらっしゃるのですが(バルセロナって
のはすごいですね。いろいろな日本人の方がいろいろな分野で活躍されています)
その先生には何度か鍼をうってもらったのですが、どうも男の先生でわたしは
恥ずかしかったのでして、中国人の30代の女性の先生に鍼をうってもらって
います。

ふつうのマンションみたいなところの1室でやっていて、1回30ユーロ。
ここは社会保険やプライベート保険がきくわけでなく、現金で心して、毎回
支払いをします。スペインは給料が安いですからね。30ユーロは高いんですよ。
日本円にしたら3000円くらいなのですが、価値的にはその倍の6000円
くらいの感覚でしょうか。(だいたいですが、ね。)

先生は、もともとお父様が同じ場所をやっていて、そのお父様がリタイアされた
ので、2代目、なのですが。よく、はやっております。お客さん?と言うのは
おかしいのでしょうか、ええ、患者さんが次から次へとやってきます。

まあ、これは最近のスペインでのアジアブームもあると思うのですが、日本人が
金髪&青い目の外国人にかつて(今も?)憧れたように、スペイン人から見ると
中国人や日本人のアジア人は、すごくエキゾチックでステキ、なのだそうです。
が、本当にそうなのか?それのおかげが知りませんが、わたしも見事スペイン人
の夫をゲットしました。

この鍼の先生のところに通い始めて、もう5年か6年。スペインで暮らしていると、
何か忘れがちな穏やかさ、同じアジア人としての不思議な雰囲気があり、ほっとする
空間なのです。この先生のだんなさんも一緒に働いていて、本当に頭の
回転が速い。話をしていて、本当におもしろいです。スペイン語の文法は
めちゃくちゃだけど。で、この若い中国人先生夫婦ふたりと「スペイン人っ
てだめよねー」と、スペイン人の悪口を言ってせいせいしたり(笑)。 

やっぱりスペイン人はみな親日だし、日本人に対して敬意を持って接して
くれますが、アジア人全体に対して、見下してる感じがするのは否めません。
が、そういうところをまた皮肉なブラックジョークで攻撃したり。

中国のいろいろな受験事情や食糧事情、環境問題など、話題がほんとうに
幅広い。日本も隣国ですから、同じようなこともありますが、やはりそこは
中国、なんとも驚くようなことがいっぱいです。そしてそれをスペインの
暮らしや日本の暮らしと比較したりすると、もうわけがわからない。

また話がそれまして政治的なことになるとややこしくなるので言葉を控えますが
スペイン在住歴10年以上の日本人の心を支えるカウンセラー的な存在が実は
中国人なのでした、という今回のお話でした。




では、また。

ニエベス@バルセロナ郊外たまねぎ村
ご意見ご感想、待ってます。

メールは
<nieves2001あっとgmail.com>
↑あっと、のところに@マークをいれてくださいね。


◇◆次回は5月28日(火)ドイツ・デュッセルドルフからの配信予定です◇◆

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【出たっきり邦人 欧州編】1177 ドイツ

【出たっきり邦人 欧州編】1177 ドイツ

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             ◇◆乙編◇◆
             

         〓ドイツ・デュッセルドルフ発〓


         <ビールだけがドイツじゃない?>


         第49回 夏の観光はぜひドイツへ


皆さんこんにちは。今年はドイツの春の訪れがかなり遅く、4月になって
もまだ朝の最低気温がマイナスの日もあり、本格的な春が待ち遠しいとこ
ろです(この原稿を書いている4月14日は日中20度くらいのようでしたが)。
実は3月初旬に一度暖かな日が続き、春の風物詩水仙がニョキニョキと地
中から出てきたのも束の間、その後雪が降ってしまったのです。恐らくそ
の後その水仙のほとんどは死んでしまい、今では花のない緑の葉っぱの部
分のみの水仙が少しあるのみ。


何とも悲しい春の幕開けです・・・。


さて今回のテーマは観光に関する少し興味深い話題を見つけましたので
紹介します。


先日「世界経済フォーラム」なる団体が発表した2013年の旅行・観光競争
力ランキング(英語)によると、世界で最も観光競争力のある国はスイス、
そして2位に我がドイツ、3位はオーストリアと中欧勢が上位3位を独占
しました。以下、10位までのランキング+アルファです。


1位 スイス(5,66)
2位 ドイツ(5,39)
3位 オーストリア(5,39)
4位 スペイン(5,38)
5位 イギリス(5,38)
6位 アメリカ(5,32)
7位 フランス(5,31)
8位 カナダ(5,28)
9位 スゥエーデン(5,24)
10位 シンガポール(5,23)
11位 オーストラリア(5,17)
12位 ニュージーランド(5,17)
13位 オランダ(5,14)
14位 日本(5,13)
・・・
25位 イタリア(4,90)
30位 エストニア(4,82)
43位 タイ(4,47)
51位 ブラジル(4,37)
57位 オマーン(4,29)
・・・
(全140カ国のランキング)
( )内の数字は各国のポイント


出所が世界「経済」フォーラムですので、単に人気のある観光地ランキ
ングとは異なり経済的指標も加味されたランキングであるところがポイン
トなのですが、以下小生の住んでいるドイツのPRも含めて、そのレポー
トの内容を調べてみました。和訳が十分でないところもあるかもしれま
せんが、そこはご容赦下さい。


まず評価の指標が全14項目あり、インフラの進み具合、政府の観光政策、
治安の良さ、環境的に持続可能か(優しいか)、文化・自然資源の豊富
さなどの項目から成り立っています。


以下、1位から3位までの具体的な評価内容です。


1位 スイス・・・スイスが評価されている項目としては、陸上のイン
フラ、観光名所やホテルの設備、スタッフの質、自然の豊かさ、そして
それらがしっかり保護されていること、余暇の為の観光だけでなく、見
本市などビジネス上のイベントも多い、と。確かにスイスと言えばアル
プスの大自然、そして環境にも優しいイメージがあるので、小生として
も納得する項目が多いことは確かです。ドイツの隣国ながら今まで行っ
た事がないのですが、早速行って見たい気になりました。


但しこのレポートにはマイナス面もしっかり書かれていて、物価の高さ
とビザ要件の難しさが指摘されています。よくある世界的な指標として
ビックマックの値段がありますが、確かにスイスは高かった気がします。
そしてビザ要件についても確かに-今こそスイスはシェンゲン加盟国
(これら加盟国の域内はビザなしで自由に行き来できる、欧州連合とは
似て非なる枠組み)なので自由に行き来できますが、数年前まではシェ
ンゲン加盟国に囲まれながら唯一「鎖国」を貫いた国、小生の相方も
例に漏れず、スイス入国にはビザが必要でした。


2位 ドイツ・・・我がドイツが第2位!納得できるようでもあり(確
かにドイツは観光大国ですし経済的にも強いし)、同時に以下のような
客観的な評価項目を見るとさらにその納得度が深まりました。


まずインフラ(陸・空)が整備されていること。空路で言うと世界でも
巨大ハブ空港の一つであるフランクフルト空港、そして少し小さいです
がミュンヘンにも大きな国際空港がありますし(両方とも日本からの直
行便あり)、陸路で言うといわずと知れたドイツ鉄道に加えて、今年に
なって長距離バスの路線開設基準がかなり易しくなり、既にいくつかの
バス会社が運行を開始しています(これでドイツ鉄道も毎年の値上げを
断念するかな、とかすかな期待を寄せています)。


また、展示会・見本市の数が世界で2番目に多く、ビジネスマンや観光
客を引き付けています。一方マイナス要因としてホテルの高さとのこと。


これらは世界経済フォーラムのオフィシャルな評価なのですが、ドイツに
住んでいる小生がわが国ドイツを以下のように評価してみました!


AAA(トリプルA=最高の評価)の項目


*インフラ・・・どんな小さな観光場所にも、多くの場合公共交通機関で
行くことができる
*緑・自然が多い・・・車窓からの景色は必見


AA(ダブルA)の項目


*美術館・博物館などが多い
*治安が比較的良好・・・当然日本よりは注意が必要ですが
*旅行者の目からの物価が、近隣諸国より安い・・・小生の比較ではその
差は歴然。世界経済フォーラムではホテル代の高さが指摘されていますが、
小生が利用するような中級ホテル代は最低でも40ユーロ(から)なので、
お得です。
*人が優しい・・・旅行者にとってはドイツ人は優しいように映ります。
自分もドイツに移住するまではドイツ人は優しい人種だと思っていまし
た・・・(どこの国にも良い人・悪い人がいますね)


A評価の項目


*ビールが美味しい・・・北から南までどんな町にもそれぞれのビールが
あり味が違い、夏に飲むビールは最高(相方はベルギービールの方がはる
かに美味しい、と言ってますが・・・)


B評価の項目


*英語が通じにくい・・・ドイツ語と英語は同じゲルマン語なのですが、
あまりドイツ人は英語を話さない?
*大都市圏は汚い・・・ドイツは綺麗というイメージを持っている方も
多いかもしれませんが、それは田園風景だけで都市は結構ゴミが落ちて
います


C評価の項目


*天気・・・残念ながらドイツの天気はお世辞にも、そしてドイツびい
きの小生でも良いとは言えません。特に今年の冬から春にかけては暗い
暗い時期でした・・・


ぜひ次回の旅行の参考になれば、と思います。


さてランキングに戻ります。


その後は3位オーストリア(評価項目として、観光客への接客態度、持
続可能な環境への政策)、4位スペイン(文化遺産の多さ、展示会の多
さ、スタジアムの収容可能人数の多さ、ホテル・レンタカー・ATMの多
さ、ホテル代が競争力あり)、5位UKと欧州勢が続きます。上位10位
に入っている欧州勢以外の国としては、6位のアメリカ、9位のカナダ、
10位のシンガポールです。世界の経済的な先進国の多くが欧州に固まっ
ていることを考えると、これは妥当でしょうか。


アジアの最上位はシンガポールですが、言わずもがな世界でも有名な国
際空港があるのでインフラはポイントが高いですよね。また経済もそれ
なりに好調のようですし、国を挙げての観光政策制度が評価されていま
すし、スイスとは対照的にビザ政策の優しさや、治安の良さも評価項目
として列挙されています。一方ネックは物価の高さ・・・先日所用でシ
ンガポールのホテルを探してみたら、ドイツより高いじゃないですか
(しかも宿泊代に宿泊税が上乗せされる)!


そして14位に日本。評価されているのは自然遺産の多さ、交通インフラ
(特に鉄道)、そして接客については世界で最も評価が高くなっていま
す-ドイツにいると、日本の接客態度が夢のように思えます。


一方価格競争力がマイナスとして記載されていましたが、小生の知って
いる限りでは日本を旅行するのとドイツを旅行するのでは、そんなに物
の値段は変わらないと思うんです。ドイツと日本でランキングに差があ
るのは、政府の観光産業への政策の違いとか、知名度の違いでしょうか
-この辺りは良く分かりません。何かご意見のある方、ぜひ教えて下さ
い!


さてもう少しランキングを見てみると、世界でも有数の観光国イタリア
が何故か?25位。レポートの要約の部分では触れられていませんでした
ので理由は分かりませんが、とても意外な結果です。この辺りがただの
人気旅行先ランキングと本ランキングとの違いですね。


そして30位にはバルト三国の雄、エストニアがランクイン。実は小生こ
の国の大ファンなんです・・・(いつかお話する機会があれば話します)。
43位にはタイ、2014年サッカーのワールドカップと2016年のオリンピック
と言う巨大イベントを控えているブラジルが51位、その他57位にはオマ
ーン。いつしかどこかで「オマーンの首都のマスカットは行く価値アリ」
と聞いたことあり、もしかしてそれが影響されてここにランクイン?


ランキングは続きますが、やはりランクの下の方になればなるほど、どう
しても経済的には強くない国、政情不安定な国などが続きます。ちなみに
最下位はハイチでした。昔仕事関係でかじったことがあり、その時から経
済的に貧しい国とは聞いていましたし、数年前に大地震があった時の現地
からのレポートでも、人々の生活は大変そうでした。旅行できることの有
り難味を感じる次第です。


++


レポートは全部で517ページありました。お時間のある方、ぜひご覧下さい
(内容がてんこ盛りだったので、小生読む気になれませんでした)。


++


さて話は戻りますが、皆さん、今年の夏休みの計画は立てましたか?
未だの方、ぜひドイツにいらして下さい。そして私事で恐縮なのです
が、今年の夏には小生の母が日本から初めてドイツに来ます。今まで
何度となく誘っていたのですが、「年を取ると腰が重いの」と言って
逃げられて(?)いたものの、やっと実現する運びとなりました。1
週間の短い滞在ではありますが、親を置いてドイツに移住してしまっ
たドラ息子なりに、親孝行をしたいと思っています。


Pride Berliner


ご意見・ご感想をお寄せ下さい。


pride-berliner2007 hotmail.co.jp
(2007とhotmailの間に@を入れてお送り下さい)


◇◆次回は4月22日(火)イタリア/ベネチアからの配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1182 ギリシャ

【出たっきり邦人 欧州編】1182 ギリシャ

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              ◇◆甲編◇◆

         
            〓ギリシャ・スパルタ発〓
            
                 「田舎生活αβ(アルファ ヴィータ)


                            第九十回

                      パパ あの島買って!


こども達が小さい頃、エリック・カールの絵本が大のお気に入りで、よく読んでやりま
した。彼の作品の中に、たったひとつだけあまり読んで聞かせなかったお話に『パパ
お月さまとって!』があります。可愛い猫が出てきますし、とても綺麗な絵本なのです
が、主人公である娘のことが、我侭に思えたのです。短絡的ですが、余りこども達に聞
かせたくないなあ、と思い、今でも日本にある本箱の隅にしまい込んでいます。 

つい最近、この絵本を思い出させるニュースを主人から聞きました。


わたしくらいの年代の者にとって、「億万長者は?」と聞かれたらまっ先に思い浮かべ
る人物は、アリストテレス・オナシス氏ではないでしょうか。単に「オナシス」という
名は、わたしが成人する頃まで、「夢にみる億万長者」であり、ギリシャ人という人種
が大金持ちの代名詞にさえ聞こえた程でした。
まさか将来、ごくごく普通のギリシャ人と結婚することになろうとは、想像もしていま
せんでしたが。

「二十世紀最大の海運王」であったとされていますが、ギリシャに於いて、彼個人の
評判はさほどよくありません。妬みからくるものか、と言われればそういう訳ではなく、
私が住む地元出身の「ニャルホス」氏も海運業で成功していますが、未だに慕われてい
ます。過分な彼のスキャンダラスな振る舞いに、辟易としていた、と見たほうがよいで
しょう。

ディーバと呼ばれた「マリア・カラス」との愛人関係。ジョン・F・ケネディーの未亡
人ジャクリーンとの契約結婚など、ゴシップを賑わした裏側で、その親族が辿る数々の
不幸は、ある必然性から起ったものかもしれません。

そんなオナシス氏には、たったひとりの子孫しかいません。
「アシーナ・オナシス・デ・ミランダ」という女性で、ブラジル人障害馬術競技、シド
ニーオリンピック銅メダル選手の伴侶でもあります。彼女自身も障害馬術競技選手とし
て活躍しているようです。

前置きが長くなりましたが、主人から聞いたニュースというのはここからです。
故オナシス氏は、ギリシャのイオニア海に浮かぶ島を個人所有していました。
スコルピオス島(蠍の意)だそうですが、時を経て、この島は、三歳だった孫のアシー
ナさんに相続されたそうです。ですが、この島に全く関心のないアシーナさんは、八年
ほど前から売りに出しておりました。

そのアシーナさんには、馬術競技友達にカテリーナ・ルイボロヴレフさん(二十四歳)
という、ロシア大富豪令嬢がいるそうです。アシーナさんから「こんな島を所有してい
るんだけれど買わない?」というようなことを言われたのでしょう。

ここで、
「パパ あの島買って!」
ということになり、
約百三十億円で入手したというお話。

このパパである大富豪ドミトリー・ルイボロヴレフ氏は、世界の資産家第十三位にラン
クされており、飛ぶ鳥も落とす勢い。

この島は「長期的な投資目的で購入した、」と、名義人であるカテリーナさんがコメン
トしたそうです。

これだけのお金があったら、経済破綻で喘いでいる(日に日に自殺者が増えています)
ギリシャ国民が、そして何より国の再興に役立つだろうに、と思ってしまいます。

ドミトリー氏は、この島で、肥料工場を作るのだそうですが・・・



こんな歪んだ世の中で、こども達の未来を思うと憂鬱になるのはわたしだけでしょうか。


キドーニ



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