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【出たっきり邦人 欧州編】1173 ギリシャ

【出たっきり邦人 欧州編】1173 ギリシャ

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2013・03・29・1173 ■□■□■
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              ◇◆甲編◇◆

         
            〓ギリシャ・スパルタ発〓
            
                 「田舎生活αβ(アルファ ヴィータ)


              第八十九回
 
            今こそ、表決のとき


我が家では、ちょっと早めの春らしい賑わしさを満喫しています。
大学休暇で息子が帰国し、久しぶりに親子四人の団欒を持つことができた上、
愛犬ナナが、七匹の愛くるしい子犬を産みました。今でちょうど十日目。初産ですが、
堂々とした母親ぶりを見せてくれています。そんな訳で、十一匹もの犬たちに囲まれ、
梨の花や杏の花も満開で、そういう意味ではとても素敵な季節といえるでしょう。


ですが、何処にでも問題はあるもので、身近では、娘の通う学校に関する万難に処する
ため、四苦八苦しております。

ご存知のように、ギリシャ経済は底の底をつき、市場は滞り、国庫の破綻から、基本的
教育さえ疎かになりがちです。ギリシャに於ける教育機関は、ほぼ国公立で成り立って
おり、義務教育にとどまらず、大学も無料で通うことができます。ですが、このただで
あることが様々な問題を孕んでいます。

戦後から、教育問題は蔑ろにされてきたそうですが、ここ最近程ひどい状態になるなど
とは誰も想像していなかったでしょう。近年では、学歴意識も高まり、大学へ進学する
こども達が増え、他国と比較しても劣らぬ学力を保っていたのです。でも、もう今では
そんな優秀な卒業生たちが働ける機会は無に等しく、海外へ職を求めています。優秀な
人材が国内に留まることができない状態です。
それに加えて、教職人員の削減、減給、教育維持費の大幅カットが行われ、教科書が
不足したり、冬場の暖房にも事欠く現状です。
多かれ少なかれ、どこの学校も予算不足で喘いでいる状態です。

娘の通う学校は、六年制の一貫教育を受けることができる公立音楽学校です。
ギリシャ全土に二十数校あるそうですが、特殊学校であるがゆえ、維持費や設備費、専
門の教師が多数教授する必要があり、資金不足で閉鎖を余儀なくされるケースも出てき
ます。わが校も対象といってよいでしょう。

設立十二年になるスパルタ音楽学校が、設立当初から、教育施設に適していない違反校
舎であったことが、登記書上で判明したのはつい最近のことです。
国道に面した、公共物件ではなく私有の建造物で、市は、この持ち主に、毎月膨大な借
料を払ってきました。そこに癒着があることは言わずもがな、なのですが、そこには
言及しないでおきましょう。

娘が入学した二年前、ΕΣΠΑと呼ばれるEU資本融資プロジェクトの計らいにより、
新音楽学校設立が樹立しました。予算が組まれ、敷地も確保され、今か今かと建立を
待っています。市に抗議しますと、のらりくらりと釈明され、地方新聞に「建設請負業
者主任来る!ただいま借家物件求むる最中(長期にわたって仕事に従事する意訳と取れ
る)」などと、漫才か何かのような記事が書かれてあったりします。が、調査しますと、
氏名さえ判明しない有様です。

このような状況で、怒り心頭ならずにはいられない我が主人。しかも、娘の入学当時よ
りPTAの会長です。
本年度より我が校にやってきたM教授は、革新派で行動力のある人物。もう一人、保護
者であり、市の行政に軛を下ろし、市に真っ向から反発して自らリサイクル資源会社を
立ち上げたA氏(長年の友人でもある)達が本気で乗り出したら・・・・


幸い、十二年経った校舎は、地下の浸水(!)、二階部分の雨漏れ(!)に加え、賃貸
契約が本年度末で切れ、更新するか否か、という状態です。市は、財政難ゆえか、借り
校舎から立ち退くことにしぶしぶ承諾し、市有物である、とある廃校になった(市町村
廃地分合のため)石造り建造校舎二階建て、周囲は自然保存区域に認定されている、
校舎を提供出来る、と打診してきました。
ただ、その場所は、スパルタ市中心部より十四km離れた場所に位置することから、
この問題が提議された瞬間から、市役員へ懐柔工作されたり、PTA幹部、校長及び
教授たちからの大抗議を食らう受難にさらされています。

校舎は不適切(裁判になれば市は賠償金を払わねばならないでしょう)私有建物である
ことが判っているにも関わらず、現状維持を求め、我々革新派に楯突く保護者たち。
建前として「子供たちが異を唱えるため」という言葉の重みに妨げられているのです。
本当に大好きな音楽を学びたいためなら、現況でも四十kmも離れた家から通ってくる
生徒たちも多数いるのです。ちなみに、登校には無料バスが通っていますので、交通費
云々の問題ではありません。

このような保守的で変革を望まない気質は、以前から知っていましたが、これ程ウンザ
リしたことは稀です。ですが、ここでへこたれますと、毎日のように行なわれる調査、
交渉、説明会に奔走している主人の面目が立ちません。

今こそ、この意思を貫かなければ・・・

PTA会長の主人は、誠実すぎ、物腰も柔らかいので、幹部から甘く見られがちです。
でも今では、M教授とA氏が堅固な後ろ盾となってくれています。

ギリシャ経済破綻などに際し、ユーロ圏債務を統率する「トロイカ」(欧州中央銀行、
欧州連合、国際通貨基金の三つの組織)の強行を揶揄し、

主人、エム教授、A氏に於ける「スパルタ音楽学校のトロイカ」などと命名して気合を
入れているのですが・・・・・

スパルタ・スキャンダルなどという状況にならぬことを祈るばかりです。



キドーニ


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『田舎生活αβ(アルファ ヴィータ)』 hazidakis@hotmail.com
 



◇◆次回は4月2日(火)イギリス・ケント州から配信予定です◇◆
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