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■Weekly Mail Journal■2013/2/6 No.670

■Weekly Mail Journal■2013/2/6 No.670

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  2013/2/6   No.670   週刊メールジャーナル   読者数9787(前回)
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●我田引水の軽減税率要求で“真実”を歪めて自死する新聞
(会員制経済情報誌『現代産業情報』2月1日号より転載)

マスコミが、厳に慎むべきは世論誘導だろう。

言論機関として、「社説」や「論説」で意見表明するのはいいが、それが権力
や特定勢力の“意”を代弁、一方の方向に導くのは危険である。

国民はそれを第二次世界大戦で経験、新聞はそれを自覚しているはずだ。終戦
記念日などには、敗戦へ導いた自らの罪を自戒する誌面が、今も展開される。

だが、結局、新聞は世論誘導を恥じてはいない。そればかりか、衰退産業とな
ってしまった原因を、客観的に判断する知力も失っている。

それは、「新聞に軽減税率を適用せよ!」という我田引水の極みのようなキャ
ンペーンに象徴されている。

「新聞の軽減税率はこの国の明日へのともしび」

こんなセンスのかけらもない標題で日本新聞販売協会が軽減税率の適用を求め
たのは、消費税率引き上げ論議の最中の昨年2月のことである。

「国民の知る権利」と「議会制民主主義の下支え」と「活字文化保持」のため
に、「軽減せよ!」と訴えた。

この時点で、既に認識違いもはなはだしい。

インターネットがあまねく普及、スマートフォンで情報が簡単に取り出せる時
代に、新聞に守ってもらう権利や民主主義や文化などない。

テレビ、ラジオ、雑誌という既存の新聞以外のジャーナリズムに加え、ブログ
等を通じたネットジャーナリズムも十分に国民の知的欲求に応えてくれる。

もはや新聞に特別な価値などない。あるとすれば、「印字された活字」という
残るものに、信頼できる事実を刷り込む作業である。

求められるのは事実。そこが、玉石混交で不正確な情報も混じるネットジャー
ナリズムとの違いであり、視聴率や売り上げをさほど気にすることなく、月極
めの購読料で安定収入を確保できる新聞の強みである。

事実を追及し、脚色することなく読者に伝えること――。

ネット社会において、新聞の唯一の生き残り策は、これまで以上に「事実の伝
道社」であること。

このことに異論を唱える新聞人はいないと思われるのだが。その「事実の伝道
者」という役割を、自ら放棄しているのが「軽減税率適用申請」である。

先ほどの新聞販売協会の我田引水で、新聞の劣化と新聞人の時代認識のなさは
証明された。

だが、1月15日に日本新聞協会が行なったアンケートの結果の発表と、それに合
わせた『毎日新聞』の社説は、明確な世論誘導であり、意図的な数字の“改ざ
ん”という意味で犯罪に相当する。

新聞協会が発表した調査結果は、回答した1210人中84%が「導入に賛成」であ
り、さらに賛成派のうち75%が「新聞・書籍を軽減税率対象にすべきだ」と答
えたことから、『毎日新聞』(1月16日付)は、「新聞に導入65%肯定的」と見
出しを打った。

その上で同紙は、翌日の社説で「軽減税率8%の導入目指せ」と、主張した。

8%の導入とは、「軽減税率の導入は消費税10%の時からにすべき」という意見
があるためで、国民の肯定的意見に“後押し”されたようなしつらえである。

だが、このアンケート結果には疑義がある。

調査対象者は4000人であり、1210人は質問に実際に回答した人数。つまり残る
2790人は、「無回答」か「回答拒否」を選んでいる。

その場合、考えられるのは「関心がない層」であること。それが即、「軽減税
率反対派」にならないのはもちろんだが、といって「肯定派」でもないのは明
らかで、4000人の回答結果であることは明示すべきだろう。

「65%が肯定的」という『毎日新聞』の記事は、新聞協会と組んだ強引な誘導
以外のなにものでもない。

消費税は、国民すべてに税の痛みを強いるが、国家財政の厳しい現実を受け入
れ、新聞各社は増税を推進する論陣を張った。

そのくせ、「自分だけは軽減しろ」と主張、アンケート結果をごまかし、ニセ
情報で世論を誘導しようとした。

「事実」という最後の砦を自ら歪めた新聞に未来はない。これまで以上に国民
の信頼を失い、存在意義を見いだせず、自死するほかはない。



●「辺境で働くビジネス戦士」を守るべきは国家か企業か?
(転載同前)

10名の日本人が死亡したアルジェリア人質事件で改めて認識させられたのは、
世界がグローバル化するなかでのビジネス戦線の広さと怖さだった。

サハラ砂漠の一角にイケメナスという場所があり、そこの天然ガス関連施設は、
分厚いコンクリートの塀で囲まれ、その上に2メートルの鉄条網が張り巡らされ、
武装した兵士が、随時、パトロールを行い、テロに備えていた。

居住区にも兵士が常駐、敷地内から出ることも許されない環境のなかで、日揮
の駐在員らが生活していた。

そんな過酷な生活を送るビジネス戦士がいることを、多くの国民は気付いてい
なかった。

そして今回の痛ましい事件で、民族問題に宗教が絡むことがある複雑なグロー
バル化が、時として、いかに大きな犠牲を伴うかを自覚した人は少なくない。

現在のところ、マスコミは被害者の「悲惨」と残された家族、同僚の「悲痛」
を伝えるのに精いっぱいである。

「アルジェリアに尽くしたために襲った悲劇……。がんばれ、『日揮』」
『FRIDAY』(2月8日号)のタイトルが象徴する。

または、「世界の辺境で働く 日本人の奮闘」という『サンデー毎日』(2月10
日号)の記事のように、通勤ルートを毎日替え、出勤後はボディーガードと移
動する治安の悪いなかでのストレスの多い職場が紹介する、ビジネス戦士の
「奮闘編」である。

しかし、実態が明らかになるとともに、湧き上がってきたのは、政府の責任論
である。

アルジェリアに進出している企業は、日揮のほか、鹿島、大成建設、伊藤忠商
事、三井物産、千代田化工建設、NECなど。

セキュリティもあって、人数を明らかにしていない企業もあるが、数百人が働
き、暮らす。

政府は、何もしなくていいのか――。

事件発生時から現地情報は乏しく、日本人の安否がつかめない状況が続いた。

日本政府も大使館も、情報をアルジェリア政府と共有できず、また外務省は、
イスラム武装勢力によるテロ多発地帯であるにも関わらず、こうした非常事態
が発生するという想定をしていなかった。

政府の危機管理面での甘さを指摘する声があがるのも当然だが、一方で、グロ
ーバル化のなかで、企業が戦略として行う海外進出の責任を、政府がなぜ取ら
ばければいけないのか、という問題がある。

外務省によれば、企業や政府から海外に派遣された駐在員、自営業者、留学生
とその家族など「長期滞在者」は78万人(2011年末)を超すという。

「日本人はリスクを取って海外に出なくなった」と批判されているが、国境の
垣根は確実に低くなり、10年前に比べて33%の増加である。

それぞれがそれぞれの思いで海外に出て、働き、学ぶ。それは自己責任で危機
管理するしかないのいうのが現実だ。

だが、成熟国家の弊害なのか、企業は国に頼ろうとし、国家は過保護に企業を
守るという傾向が強くなった。

国内では、大企業が倒産すれば、企業再生支援機構、産業改革機構といった組
織が出張ってきて、救済する。

「国民経済や生活に与える影響が大きい」というのが理由だが、その過保護が、
競争力を失えば淘汰されるという資本市場の厳しさを失わせ、結果として日本
経済の成長力を削いでいる。

それは民間の弱さであるとともに、官僚の保身でもある。

総会屋が絶滅、指折り数えられるほどになったのに、未だに株主総会には警察
の総会屋担当が、自らの存在証明のためだけで出席している。

アルジェリア事件は、大きな犠牲の上にさまざまな教訓を残した。

ただ、だからといって「国の責任」に一定上、言及するのは避け、企業の自己
責任を再認識すべきである。


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 電話:03-5312-7471 
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 週刊メールジャーナル 2013年2月6日  第670号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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