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【出たっきり邦人 欧州編】1188 オランダ

【出たっきり邦人 欧州編】1188 オランダ

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2012・06・07・1188   ■□■□■
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♪ 出たっきり邦人・欧州編にまたまた新メンバー登場! ♪

6月18日から、欧州編でもう一つ新連載がスタートします。
発信地はロンドン!欧州編にはすでに英国ケント州在住のベテランライターさん
がおられますが、同じ国でも住む場所が違えば、見える景色も違ってきます。
これからは、英国の日常を二つの全く違った視点からお届けいたします。
どうぞお楽しみに!!


              ◇◆甲編◇◆

        〓オランダ・アイントホーフェン郊外発〓

           ミナミも、ええよ。その59
              
新国王就任

そういえば、前回のオランダ編を書いたときも、こうして庭でパソコンに向かっ
ていたのでした。つまり一ヵ月半前の話です。それ以来、「これはもう外に出る
しかない」と思えるようなお天気に恵まれたのはほんの数日だけ。昨日なんて6
月だというのに、セントラルヒーティングがオンになってしまうくらい寒かった。
30年来の寒くて長い冬の後に、これまた記録的に寒い春が訪れたので、果たして
この夏は夏らしく過ごさせてもらえるのだろうか、とちょっと懐疑的な今日この
頃です。

前回ちらっと予告をしましたが、今回は、去る4月30日にオランダに誕生した新
国王と、その日の出来事をご紹介します。でも、正直なところ、ひとつのストー
リーラインにそって、ハイライトをうまくまとめて文章でご紹介することはでき
そうもありません。頭の中で全然アイディアがまとまらないのです。窓枠にペン
キを塗っている近所の兄ちゃんのラジカセがうるさいからではありません。たぶ
ん、当日にすべてをリアルタイムでフォローできなかったため、アムステルダム
の空気、臨場感、高揚感を十分に味わえなかったせいだと思います。そこで、今
回は動画の力を借りることにいたします。

この国にかつて国王が存在したのは19世紀のことです。それからの123年間は女
王の代が続きました。21世紀という、不透明かつ極めて流れの早い時代に即位し
たウィレムアレキサンダー国王は、王室という伝統を背負いながら、今の時代の
国民が求めるところを汲みとり、王室として社会にどう貢献できるかを模索して
いかなくてはいけません。非常に難しい役割だと思います。

しかし国王自身、子供のころから社会のいろんな層の人たちとふれあってきた経
験を持ち、伝統やプロトコールにこだわらない気質で、メディアとの付き合い方
も線引きをきちんとして私生活を守る、非常に合理的で現代的な考え方の人物で
す。例えば、就任後に近隣諸国を表敬訪問されていますが、従来なら丸1日がか
りになる日程を半日あるいは数時間に短縮して、精力的かつ効率的に公務に取り
組んでおられます。

即位式の宣誓で、「どの国王にもそれぞれの役割の果たし方がある。国王の役割
は固定されたものではなく、法の許す限り状況の変化に応じて変化する余地があ
るものだ」と述べておられますが、さっそくその言葉を実行に移し、オランダに
新国王が到来したことを国内外に印象付けています。

まだまだ第一線で活躍できる実力と知恵を持つ実母、ベアトリクス王女が健在で
あることは大きな心の支えになるでしょうし、国内はもとより近隣諸国でも非常
に人気の高い、マキシマ王妃が脇を固めておられるので、現代の国王として独自
の道を切り拓いていかれることでしょう。今後のご活躍に注目していきたいと思
います。

それでは、4月30日の様子をYouTubeの動画でお楽しみください。
オランダの国営放送NOSが朝から晩までライブ放映した映像がすべて収録された
3つのリンクをご紹介します。かいつまんで鑑賞されたい方のために、見所も書
き添えました。オランダ語の放送なので字幕はありませんが、ご興味のある方は
ぜひご覧ください。


■ウィレム=アレキサンダー国王就任・パート1 <女王退位とダム王宮バルコ
ニーからの挨拶>
https://www.youtube.com/watch?v=YU9McZJ7Kws (1時間55分)

  アムステルダム、ダム王宮内の「モーゼの間」で午前10時より行われた、女
王の退位証書署名式が見られるのは1時間1分~1時間15分です。実際に女王が
署名をされるのは1時間7分30秒から。女王と皇太子夫妻のほかに、首相をはじ
めとする31名の参列者が証人として署名をした時点で、女王は正式に退位し、新
国王が誕生します。女王と皇太子夫妻が署名をした後、互いに手を握り合うシー
ンで、ベアトリクス女王は珍しく感傷的な表情を見せておられます。親子の絆の
強さを伺うことができる場面でもあります。
  署名式の後、王室一家はモーゼの間に残り、家族だけのひと時を過ごします
が、その場面はプライベートということで、映像はありません。

  そして、退位したばかりのベアトリクス王女と新国王夫妻がダム王宮のバル
コニーに姿を見せるのが、1時間30分~1時間37分です。王女と新国王の短いス
ピーチがあります。観衆の熱烈な歓声と拍手を受け、また息子から愛情に満ちた
深い感謝の言葉を受けて、涙をこらえるのが精一杯という様子の王女です。そし
て、王女と入れ替わりに新国王の小さな3人の娘さんたちが姿を見せ、一家そろ
って広場に集まった人々に手を振ります。


■ウィレム=アレキサンダー国王就任・パート2 <就任式>
https://www.youtube.com/watch?v=GK8MOsXzckE (3時間43分)

  午後2時からは、ダム王宮の隣にある新教会で、新国王の就任式が執り行わ
れます。1時間4分30秒から外国の来賓が到着しはじめます。一番最初に映るの
は元国連事務総長コフィ・アナン夫妻です。就任式では、新国王が最高位でなく
てはいけないそうで、他国の国王や女王、天皇、大統領は招待されません。

  英国チャールズ皇太子夫妻が1時間19分頃に姿を見せますが、「33年前のベ
アトリクス女王の就任式にも出席されました。母君がまだ現役でいらっしゃるの
で…」という、アナウンサーの大きなお世話のコメント付き。オランダの新国王
就任を機に、チャールズ皇太子にはいつ出番が来るのだろう?という同情や揶揄
の声がイギリス本国でも上がったそうですが、ご本人は果たしてどう思っておら
れるでしょうか。

  少し間をおいて、各国の皇太子夫妻が続々と到着します。日本の皇太子夫妻
が登場するのは1時間27分55秒からです。二人がアップで映るなり、中継アナの
コメントが入ります。「日本の報道陣はこの絵を撮ろうと待ちわびていました。
徳仁親王と雅子妃です」「雅子妃は滅多に公式の場には姿をお見せになりません
ので、少し体調が回復されたのかもしれません。この瞬間を捉えようと、80人も
の日本のプレスがアムステルダムに詰め掛けました」1時間30分あたりからも、
他国の来賓と挨拶をされるお二人の姿が何度が映り、1時間35分8秒には、仲睦
まじく言葉を交わしておられる様子が見受けられます。

  1時間46分40秒~、陸海空軍の使節に先導されて新国王夫妻が登場します。
ウィレム=アレキサンダー国王が纏っている毛皮のマントは重さが20kgもあり、
普通に羽織ることができないため、両肩の内側につけられた皮のベルトを肩口の
ところでしばって固定しているのだそうです。動物愛護の盛んなオランダだけに、
毛皮のマントには一言ある人たちもいるようですが、国王曰く、「王室で200年
にわたって引き継がれてきたこの品は伝統の大切な一部であり、脈々と流れる王
室の歴史を象徴しているので、着用したいと思います」。

  ダム王宮から新教会へと伸びる青絨毯の上をゆっくり歩む新国王夫妻が、い
つものリラックスした笑顔はどこへやら、いまだかつてないほど緊張した面持ち
でおられるのを目にして、今更のように「これは一大事なんだ」と、こちらまで
緊張してしまいました。肩に食い込む20kgというマントの重みは、国家元首とし
ての責務の重さを象徴しているのかもしれません。

  1時間52分50秒~、国王と王妃が新教会に入場され、国歌斉唱の後、1時間
57分45秒から国王の宣誓が始まります。10分を超える長いスピーチです。ものす
ごく良いことをおっしゃっているのですが、いかんせん長いので、ちょっとここ
では翻訳を披露することができません。またの機会にご紹介したいと思います。


■ウィレム=アレキサンダー国王就任・パート3 <ボートパレード>
https://www.youtube.com/watch?v=ff5fRBEgxWM (4時間28分)

  この日最後のプログラムです。国王一家はアムステルダム市長夫妻にエスコ
ートされて、夕方6時半に、アムステルダム駅の対岸にある映画博物館EYEの前
からボートに乗り込まれました(1時間15分~)。パレードが行われるアイ湾に
は、各所に水上ステージやショーボートが設けられ、ダンスカンパニーや歌手、
スポーツ選手などが、新国王を祝福するエンターテイメントやデモンストレーシ
ョンを披露します。水上イベントなので独特のテンポで展開されますが、実にア
ムステルダムらしい光景が楽しめます。

  サッカーや各種オリンピック競技など、オランダのスポーツ史に興味のある
方は、ぜひ1時間23分から1時間30分15秒のスポーツ史ハイライトショーもご覧
ください。国王がこの世に生を受けた1967年から現在に至るまでの名場面を、ダ
イジェストで紹介しています。さらに、1時間27分40秒からは、昨年のロンドン
五輪で種目別鉄棒の金メダルに輝いた、エプケ・ゾンダーランド選手が、特設水
上ステージで見事な鉄棒の演技を披露しています(多くの女性を魅了する彼のか
わいらしい笑顔が見えないのがちょっと残念ですが)。

  そして、いよいよボートパレードのクライマックスです。世界で3本の指に
入る、オランダのコンセルトヘボウ・オーケストラと、現在世界No.1のオランダ
人DJ、アーミン・ヴァン・ブーレンがタイアップした、滅多に見ることのできな
いコンサートです。会場のJAVA島には15000人ものファンが集まりました。2時
間5分30秒あたりから、一曲目のボレロのメロディが聞こえてきます。

  このジョイントコンサートの企画を準備する中で、DJアーミンは、一旦舞台
から離れて国王に挨拶をしてほしいと言われたそうですが、彼は「チケットを買
って見に来てくれたお客さんをほったらかしにすることはできないので…」と断
ったそうです。そうしたら当日、一曲目のボレロが終わったところでハプニング
が起こります(2時間17分50秒~)。

  予定では、次に演奏される「ロイヤル・インテンス」というアーミンの曲も、
国王一家はボートから鑑賞することになっていたのですが、なぜかここでボート
がJAVA島に接岸されます。付き添いのアムステルダム市長が携帯で誰かに連絡を
取っています。船上で何かあったのか、と中継のアナウンサーも怪訝に思ったそ
うですが、そのうちに国王夫妻と3人の小さな娘さんたちが、おもむろに船から
降りてきました。さっきの電話は島の警備スタッフに突然上陸しても対応できる
か確認をとっていたようです。

  先代の女王ではありえない展開ですが、新国王が急遽、オーケストラとDJに
挨拶しに行きたいと言われたのでしょう。ステージ袖に突然姿を現した国王一家
に、観客は熱狂します。オーケストラの団員たちも大喜びで、仕事中であること
を忘れたかのように、みんな国王一家のほうを向いています。指揮者はそれでも
指揮棒を振っていますが、みなさんかなりよそ見演奏(笑)。「演奏」に忙しか
ったアーミンと、もちろん持ち場を離れることのできない指揮者のために、国王
夫妻は舞台の中央まで行って握手を交わしました。

即位当日早々のこの一幕。オランダ王室が従来から大切にしてきた、オープンさ
や国民との距離の近さに加えて、新国王の、形式やプロトコールに縛られないモ
ダンな王室を築こうというステートメントがはっきり示されたと言えそうです。

  空がようやく黄昏の色を見せはじめた夜の9時30分頃、ボートはアムステル
ダム駅の東側に位置する、ムジークヘボウという劇場前に着岸してパレードが終
了しました。オランダ空軍のアクロバット飛行が夕闇の迫る空に線を描き、礼砲
が響きます(2時間39分)。このあと、王室一家と来賓たちは同劇場内で晩餐を
楽しみ、一日がかりの祝宴に幕を閉じました。


最後におまけ。

■即位前夜祝賀ディナー
https://www.youtube.com/watch?v=FrcH66Ftt64
即位式前夜の祝賀会の会場に選ばれたのは、10年にわたる大改修工事を終えて新
たにオープンしたばかりの、アムステルダム国立美術館でした!徳仁親王を含む
各国からの賓客たちは、レンブラントの「夜警」が飾られた部屋で晩餐を楽しみ
ました(実にうらやましい!)。来賓の面々が国立美術館の入り口に到着された
ときの写真を、スライドショーでご覧ください。


今回も長くなってしまいましたが、最後までお付き合いくださり、ありがとうご
ざいました。

ではまた、次回まで。

あめでお


♪感想メール、お待ちしております♪
beraboamedeo*hotmail.com(お手数ですが*を@に置き換えてご利用ください)


◇◆次回6月11日(火)は、ルーマニア・ブカレストから初配信です◇◆
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【北米・オセアニア編】【中南米・アフリカ編】【アジア編】
          【出戻り邦人】もよろしくね

         ◇◇◇詳細は下記のHPで◇◇◇
         http://www.geocities.jp/detahome/
       各種問い合わせ先:detahou@hotmail.co.jp

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電子出版 :出たっきり邦人【欧州編】<まぐまぐID:0000023690>
発行協力 :まぐまぐ http://www.mag2.com/
発行責任者:欧州編ライター一同 連絡先:oushuhen@hotmail.com
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