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<国際派時事コラム>北朝鮮崩壊後に、悔しい思いをせぬシナリオは

<国際派時事コラム>北朝鮮崩壊後に、悔しい思いをせぬシナリオは

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   北朝鮮崩壊後に、悔しい思いをせぬシナリオは


■■■■第355号■■平成25年2月18日発行■■■◆




 たかだか50年の歴史しかないスポーツ空手の「テコンドー」。
 古代ギリシャからあるレスリングを押しのけ、テコンドー
がオリンピック種目に居座るなど、四月バカの冗談としても
不出来だ。

 巻き返しにむけて関係国が巨額のカネをばら撒きそうな種
目としてレスリングが選ばれたか。
「はめられた」感じだが、そうなってみると悔しいものであ
る。

 レスリングがオリンピックから外れるなど、北朝鮮崩壊よ
り確率は低い、はずだったのだが。


■ 楽浪郡のあった頃に戻ればいい ■


 北朝鮮が崩壊したら、漢の武帝の時代に戻ればよいという
のが、かねてからのわたしの意見だ。

 日本人の耳にも親しい「楽浪郡(らくろうぐん)」など
4つの郡をおいて、朝鮮半島の北半分を殖民地支配した漢朝。

 北朝鮮の再建は巨額の資金が必要だから、中国に苦労させ
ればよい。
 もちろん中国は地下資源の利権でモトを取るだろうが。
 中国が北朝鮮を併合して「朝鮮自治区」と改名しても、
わたしは反対しない。

 なまじ韓国主導で朝鮮半島が統一されると、ゆきがかり上、
日本も巨額の資金を拠出するハメになる。
 日本からカネをゆすり取ろうと、韓国もニューヨークタイ
ムズも、ウソ八百を言いまくり、書きまくる。

 けっきょく、キックバックをアテにして与党政治家が我ら
の血税を朝鮮半島につぎこむだろう。
 統一朝鮮はけっして日本の友好国にならぬというのに。


■ 香港出身の Steve Tsang 教授 ■


 突然こんなことを書いたのは、ウォールストリート・ジャ
ーナル紙に香港出身の政治学者が書いた
「韓国主導の朝鮮統一も中国にとって悪くない」
という評論を読んだから。

 2月14日付で、China Would Benefit From a United Korea 
と題してある。

 寄稿したのは、英国在住の Steve Tsang 教授。
 こんなひとだ:
http://www.nottingham.ac.uk/chinese/people/steve.tsang

 その評論の中ほどあたりを読んでみよう。


≪The conventional wisdom that a collapse of the North 
Korean state will be disastrous for China is misconceived. 

北朝鮮の崩壊は中国にとって災難だというのが、もっぱら常
識とされてきたが、的外れだ。

Any crisis sparked by North Korean refugees fleeing 
across its northern border into China would be short-term 
and international assistance would be readily available.

北朝鮮から国境をこえて中国へ難民が流れ込み危機的状況と
なったとしても、それは短期的にすぎず、国際支援も確実に
得られよう。

A South Korea-led unification of the peninsula should 
hold no fears for China. China already enjoys a smoother
relationship with the South than with the North.

韓国主導で朝鮮半島が統一されたとしても、中国がこれを恐
れることはない。
中国はすでに、北朝鮮よりむしろ韓国との関係のほうが良好
だ。≫


 うん、なかなか辛口じゃないか。


■ カネの出所は日本だよン ■


≪A Korean unification would take two decades, during 
which Japan and the U.S. would need to inject a huge 
amount of aid. 

朝鮮半島統一には20年かかるだろう。その過程で、日本と米
国は巨額の援助金を注ぎ込む必要があろう。≫


 ここで目が覚めた。
 北朝鮮再建のためのカネの出所として、韓国でも中国でも
ロシアでもなく、まず日本を挙げるとは何の料簡か!

 英文を読みながら 「こ の バ カ ヤ ロ ウ」 とつぶやい
たが、しかし世界レベルのリアリズムとは、おおかたこんな
ところである。


≪Rebuilding and reincorporating North Korea would 
preoccupy Korea and Japan for a generation. 

北朝鮮の再建・再生に、韓国と日本は一世代のあいだ、かか
りきりになろう。

This hardly counts against Chinese interests as it 
continues its own advance towards the status of 
world's largest economy.

これは実際、中国の利益に反するものではない。
中国は中国で、世界最大の経済圏の確立に向けてわが道を行
けばよいのである。≫


 リアリズムだなぁ。


■ 北朝鮮の核を韓国が継承すると… ■


≪If this process unfolds, the U.S. motivation for 
keeping its own military forces in South Korea dissipates. 

このプロセスが進展していけば、米国が自国軍を韓国に駐留
させ続ける理由づけが希薄になる。

A phased reduction of the American presence would 
surely follow.

必ずや米国は、韓国におけるプレゼンスを段階的に低減させ
よう。≫


 逆に言えば、米軍が韓国に駐留し続けるためには、北朝鮮
が中華人民共和国朝鮮自治区になったほうが、まだましだと
いうことになる。


≪If the U.S. wishes to maintain bases in Korea in the 
longer term, it will have to secure permission from a 
proud and newly united Korean nation ? hardly a foregone 
conclusion.

かりに米国が韓国に長期的に基地を維持することを望むとし
ても、米国は誇り高き新生統一朝鮮国家に軍事駐留の許可を
求めねばならないわけだから、どうなるか予断をゆるすまい。

A united Korea that inherits the nuclear weapons of the 
North would also pose challenges to U.S.-Korea relations. 

統一朝鮮が北朝鮮の核兵器を継承するなら、これまたこれま
での米韓関係の見直しを迫るものとなる。

The U.S. will remain committed to denuclearizing the 
peninsula, while the Korean government would be tempted 
to retain its nuclear capabilities. 

米国は朝鮮半島の非核化を懸命に追求するだろうが、統一朝
鮮政権は核兵器保持の思いを捨てきれまい。≫


 北朝鮮を韓国が併合するということは、韓国が核保有国に
なることなわけだ。


■ 米国が半島から追い出される日 ■


≪This strain in their relationship should work to 
China's advantage as it reduces the likelihood of 
U.S. troops remaining in Korea.

米国と統一朝鮮の関係が緊張することも、中国には有利に働
く。米国が朝鮮半島に軍事駐留し続ける可能性がいっそう薄
らぐからだ。≫


 韓国人・朝鮮人が半島から米国を追い出す日を夢想する 
Steve Tsang 氏である。

 これを読んでいると、
「言わせておけば、言いたい放題を言いおって!」
という思いがこみ上げる。
 しかし、まずは言いたい放題を言うのが外交論の基本だろ
う。

 さて読者のあなたは、北朝鮮崩壊後のシナリオは何がいち
ばんいいとお考えだろう。
「良い悪い」や「望ましい望ましくない」ではなく、「どう
すれば悔しい思いをしなくて済むか」という切り口が大事だ
と思う。

「統一朝鮮に日本がカネを注ぎ込まないと、釜山が中国海軍
の軍港になるぞ」
と息巻く御仁もあるだろうが、わたしに言わせれば
「朝鮮にばら撒くカネがあったら、それを対馬や島根県に注
ぎ込むべし」だ。

 
===

▲ 後記 ▼
 

 日頃から中国への投資に反対し、中国共産党を批判してい
るお蔭で、寿命が延びた。

 勤務先の会社がわたしを中国に駐在させるはずがないから、
環境汚染中国に住まずに済んだ。


* *

 最近のブログ記事から ――


中国の環境汚染企業への法定罰金は、最高で150万円
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/201302070000/

 2月5日の「ウォールストリート・ジャーナル」に、北京
在住の環境・法務コンサルタントの Steve Q. Andrews が寄
稿していて、それによれば
 

≪In China, the maximum statutory fine for refusing to
report emissions data is only 50,000 yuan ($7,653) and 
penalties for exceeding emission standards can only 
reach twice that at 100,000 yuan.
 
中国では、排気データの報告を拒むことに対する法定罰金の
最高額が、たったの5万元。
そして、排気が環境基準をオーバーすることに対する罰金は、
そのたった2倍の10万元でしかない。≫

 
 5万元といえば、75万円。10万元は150万円。
 わたしでもポイと払えなくはない額だ。
 企業にとってはゴミのような金額。これでは環境保護設備
を入れる気にならない。
 
 この罰金より何桁も多いカネが、工場幹部から中国共産党
へ流れているだろうと、ぼくは思いますが。
 
 権力構造内の「三権分立」以前に、そもそも政界と産業界
と報道界が中国共産党によって ひとくくりにされているから、
人民のための政治になりようがない。
 
 三権分立以前に、政界・産業界・報道界の“三界分立”を
実現しないと、社会のチェック・アンド・バランスが働かな
いということだ。
 
 Steven Q. Andrews 氏の記事の題名は、

How Beijing Hid the Smog.
China can reverse its air pollution nightmare by 
committing to real transparency and enforcement.

(北京政府のスモッグ隠し術
真の透明性と法規制の徹底があれば、中国は大気汚染の悪夢
を克服できる)


<全文はブログでどうぞ>


==


<泉 幸男 著>

   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/

==


■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)

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