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【出たっきり邦人 欧州編】1179 当たり年オランダ

【出たっきり邦人 欧州編】1179 当たり年オランダ

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2012・04・27・1179   ■□■□■
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♪ 出たっきり邦人・欧州編に新メンバー登場! ♪

4月30日から、欧州編で新連載がスタートします!!
発信地は、欧州随一の神秘的な魅力にあふれる国、ルーマニア。
首都ブカレスト在住のあーこさんが、日本でもまだよく知られていない、
東欧の国の日常をお届けします。どうぞお楽しみに!!


              ◇◆甲編◇◆

        〓オランダ・アイントホーフェン郊外発〓

           ミナミも、ええよ。その58
              

      (連日配信をさけるため、一日遅れでお届けします)


行くなら今年!2013年オランダ。

今年はまさに、オランダの当たり年です。

様々な記念イベントが、申し合わせたかのように今年に集中しています。
オランダ政府観光局のサイトにも紹介されていますが、http://www.holland.com/jp/tourism/article/amsterdam-2013-jp.htm 
主だったものだけでも、新国王即位、アムステルダム国立美術館グランドオープ
ン、ゴッホ生誕160周年+ゴッホ美術館開館40周年、アムステルダム運河400周
年(運河祭り)、フランス・ハルス美術館開館100周年(ハーレム市)、コンセ
ルトヘボウ125周年と、とにかく見所満載です。

ここでは、そのうち3つについて、日本のメディアでは紹介されていない関連情
報を交えてご紹介しましょう。少し長くなりますが、よろしければおつきあいく
ださい。


■女王の退位、新国王の誕生

あと数日で、4月30日です!また「女王誕生日(Koninginnedag)」が巡ってきま
す。毎年この日は、王室一家と国民がふれあうイベントが開かれ、国中がオレン
ジ一色のお祭り騒ぎになりますが(※)、今年は、非常に特別な、そして順当に
行けば、この先30年近くのお別れとなる、『最後』の女王誕生日です。午前10時
にベアトリクス女王が退位されたのち、午後2時には、アムステルダムのダム広
場にある新教会で新国王の戴冠式、ダム王宮のバルコニーでお披露目が行われま
す。

(※ いつもの女王誕生日のお祭りは、例えばこんな感じ。昨年の様子を1分半
ほどにまとめた楽しい映像です。開いた画面でクッキーをOKしていただくと、
動画が見れます:http://jeugdjournaal.nl/item/368126-beatrix-super-populair.html )

伝統よりも合理性を尊ぶオランダ、とでも申しましょうか、王位は(女)王が存
命のうちに次世代へと継承されます。今年は、オランダ王室(君主制)誕生200
周年でもあり、皇太子夫婦が王と王妃の役割を果たす準備が整ったことから、王
位交代が決まりました。オランダ王室のトップは、これまで3代にわたって女王
だったので、実に123年ぶりの国王の誕生です。

王位交代については、1年以上前から、女王と皇太子夫妻の間で、秘密裏に引き
継ぎが進められていました。それぞれ公式の場でちょっと口を滑らしかけたそう
ですが(笑)、幸いそれに気づく人もなく、退位表明の発表は、75歳の誕生日を
控えた今年1月28日に、女王自身がTVの特別放送を通じて行いました。ある程度
の憶測は飛び交っていたものの、具体的なタイミングを知る人はいなかったため、
この発表を聞いた多くの国民が驚き、感傷的になりました。

ベアトリクス女王は、先代女王が国民の母的存在であったのとは対照的に、ビジ
ネスウーマン然とした、良い意味で実にプロフェッショナルな女王でした。王室
が自国産業の海外進出に重要な役割を果たす今の時代には、まさに理想的な存在
だったと言えるでしょう。即位当初は、「よそよそしい」「真面目すぎる」など
と言われて、記憶が正しければ支持率は30%代と低めでしたが、その後30年以上
にわたって上昇の一途をたどり、威厳と気品の中にも親しみのある人物として、
2012年にはなんと81%の支持率を得ています。

それも彼女が、王室と国民の距離を縮める努力を惜しまず(女王誕生日に国民と
ふれあう機会を設けたり、各種チャリティ活動で市井の人に混じって労働奉仕す
るなど)、国の外交と産業を守り立てる重要な公務を、ひとつひとつ着実にこな
してこられた努力の賜と思います。オランダという、九州ほどの国土しかない小
さな国が、常に世界の表舞台で活躍してきた陰には、女王をはじめとする王室一
家の尽力があったのです。

王位交代の様子やそれにまつわる諸々の出来事、そして新国王については、でき
れば次回のオランダ編でまとめてご報告したいと思います。


■アムステルダム国立美術館(ライクスミュージアム)のグランドオープン!
https://www.rijksmuseum.nl/nl/nu-in-het-museum/gebouw-en-presentatie

オランダが世界に誇る美術品の宝庫、国立美術館。レンブラントの大作「夜警」
を収蔵することでも知られるこの美術館が、10年にわたる大改修工事を終えて、
今年4月13日、ベアトリクス女王によるオープニングセレモニーがありました。
しかも初日は、午後12時から深夜12時まで完全無料開放という、非常に粋な計ら
いもあり、旅行者はもちろん、地元や国内各地からも大勢が詰めかけ、夜9時に
なっても、雨のなか数百人が1時間~1時間半の入場待ちをしたそうです。夜に
「夜警」を鑑賞するという、通常では願っても叶わない特別なひとときを過ごす
ためなら、それも良い思い出になるでしょう。

延長に延長を重ねた大改修工事だっただけに、グランドオープンを待ちわびてい
たのは、他ならぬ美術館関係者だったと思いますが(笑)、もちろん、展示品を
提供した人たちや一般の芸術ファンも、首を長―くして待っていました。Eチケ
ットの発売が開始されるなり、一日で8万枚売れたというのだから、その人気の
高さがうかがえます。

話題には事欠かない新美術館ですが、特に設備面で多々の工夫が凝らされていま
す。例えば、展示室には天窓が多用されており、開放感のある空間で名作が楽し
めます。また、館内のスポットや天井照明にLEDランプが使われているため、作
品のコントラストや立体感が引き立ち、色調や細部が、従来よりはっきり鑑賞で
きるそうです。しかも、LEDランプは作品の劣化をもたらす熱線や紫外線を出さ
ないため、作品にも優しい。そのLEDランプを合計75万個納入したのが、オラン
ダ家電メーカー・フィリップスだと言うのだから、実に1石3鳥です。

よりよい鑑賞体験を提供する、というコンセプトで採用されたもう一つの工夫
が、展示室の壁の色です。美術館というと、思い浮かぶのは真っ白な壁ですが、
国立美術館の壁はチャコールグレー。言われてみれば当然なのですが、壁の色が
暗いと眼に入る光量が減るため、瞳孔が開き、絵画に使われている暗い色調をよ
り良く認識することができて、絵画を細部まで楽しめるのです。

館内に併設されたカウパース図書館は、内装が復元されて趣ある佇まいを見せて
いますが、かつては関係者のみが利用できた特別な施設でした。それが、グラン
ドオープンを機に、一般入場者にも開放されています。例えば、レンブラントの
習作のスケッチを手にとって見ることができたりします。もちろん、そういった
極めて価値の高い資料であれば、閲覧時に白手袋の着用が義務づけられます。一
般客の閲覧による「不慮の事故」も心配されますが、貴重な資料も一般公開しよ
うという、美術館側の心意気に敬意を表したいと思います。

展示品の年代は、フロアを上の階へと進むにつれて、現代に近づいていきます。
19世紀のフロアには、出島にまつわる作品も展示されています。注目に値するの
が、石崎融思が絹のキャンバスに描いた、オランダ人商館長一家の肖像画です。
当時、オランダ人が出島に女性を連れてくることは固く禁じられていましたが、
1817年に再赴任した商館長は、1歳の息子と妻、乳母を連れて上陸します。長崎
奉行が許可したことで、妻と乳母も出島での生活をはじめますが、将軍の滞在許
可は得ることが叶わず、息子とともに5ヶ月後には日本を離れました。

妻の名はティツィアといい、日本で暮らした初めての西洋人女性です。西洋人女
性を見たことのない日本ちにとって、彼女の巻き毛は特に印象的で、日本の画家
たちは彼女のスケッチを多数描きました。ティツィアが帰国した後も、版画や日
用品に肖像が描かれ続け、現在までに500万点もの日本の品が、巻き毛と赤い首
飾りの彼女の肖像で飾られています。ティツィアの親戚にあたるオランダ人男性
は、日本を訪れるなどして、ティツィアにまつわる品を収集し続けており、その
コレクションも、展示品として提供されています。

20世紀のフロアで避けて通れないのは、第二次世界大戦当時の展示品です。オラ
ンダ各地でも、第二次大戦中に多数のユダヤ系市民が連行されたため、強制収容
所にまつわる品もあります。自分の母が収容所で着せられていた、縞柄の上着を
寄付した女性が語ります。

「私の母は、家族全員で連れ去られたのち、一人生き残ってオランダに戻りまし
た。2010年に他界した後、母の遺品を整理していたら、大切にビニール袋に包ま
れたこの上着が、タンスの奥から出てきたのです。母が上着を保管していること
は知っていましたが、家族の暗い歴史を象徴する存在であり、恐怖感もあったの
で、それまでは触れようとも思いませんでした。母は強制収容所での経験を一言
も娘の私に話そうとしませんでした。でも、映画「シンドラーのリスト」が公開
されたとき、父が珍しく、一緒に見に行こうと言ったのです。映画を見て、よう
やく父と母の経験を知りました。後にも先にも、父が涙を流している姿をみたの
はあのときだけです。

また母は、自分の経験を執筆した本を出していました。かなり分厚い本で、それ
を読むように娘の私にも何度かいいました。でも、まだ若かった私は、なんだか
んだと言い訳をつけて、読もうとしませんでした。自分はなんてひどい娘だった
のだろうと、いまだに悔やまれてなりません」

母の上着が、こうしてしかるべき場所に展示・保管されることは、彼女にとって
の母への供養でもありました。この上着がいよいよ展示される日、彼女と夫、子
供達は、美術館の招きを受けて、その場に立ち会うことができました。白い展示
台に広げられた上着に再び対面し、彼女は「ふれてもいいですか?」と断って、
上着の裾に、そっと愛しそうに触れました。そして、上着はガラスケースに納め
られ、壁に掛けられました。

国立美術館というと、レンブラントやフェルメール、フランス・ハルスといった
17世紀の画家の作品に注目が集まりがちですが、訪れていただく機会がありまし
たら、ぜひ時間をとって、上の階まで足を運んでいただきたいと思います。


■ゴッホ生誕160周年、ゴッホ美術館開館40周年
http://www.hollandflanders.jp/wp/markt/?p=273

国立美術館と並んで、圧倒的人気を誇るオランダの美術館と言えば、ゴッホ美術
館です。昨年9月から改修工事のため休館していましたが、その間は、同じくア
ムステルダムのエルミタージュ別館で、ゴッホ美術館の主な作品が公開されてい
ました。いよいよ、5月2日にリニューアルオープンです!

ゴッホにとっても記念すべき2013年は、国内ドラマシリーズ「フィンセントの
家」で幕を開けました。容姿と実力を備えたオランダ屈指の映画俳優、バリー・
アツマ(Barry Atsma)が、髪を赤く染めてゴッホ役を演じています。
http://www.eo.nl/tv/van-gogh-een-huis-voor-vincent/nieuws-detail/artikel/barry-atsma-vincent-van-gogh/

ストーリーは、画家フィンセント・ファン・ゴッホが生きた1800年代後半と、彼
の甥(弟テオの息子)であるフィンセント・ウィレムの晩年(1950年代以降)の
2つの時代を行き来します。非常に興味深かったのは、後にゴッホ財団設立者と
なる甥が、両親から相続したゴッホ・コレクションを当初は心底嫌悪していたと
いう事実です。ゴッホ一族を混乱させ惑わせた、忌々しい『狂気の伯父』が描き
ためた作品群は、彼の生活空間をも占有し、彼の苛立ちはピークに達します。そ
して、ゴッホ・コレクションを愛していた妻に内緒で、パリの美術館にまとめて
売り払う段取りをつけていました。

しかし、それに気づいた妻は、夫の「パリ出張」に強引に同行します。道中は妻
が主導権を握り、二人は妻の望むまま、ゴッホゆかりの地を訪ねて回ります。彼
はその間に、『狂気の伯父』が、まだ物心つかない幼い自分をこの上なく愛して
いたことを知ります。

そして、いよいよ商談の地パリへ向かおうというとき、田舎道で車が故障して立
ち往生します。数キロ歩いてたどり着いたのは、アルルの病院でした。ゴッホが
耳たぶを切り落として収容された病院です。他に行き場のない二人は、病院の一
室で一夜を明かします。ふと目を覚ましたフィンセント・ウィレムは、枕元に
伯父の姿を見ます。頭に包帯を巻いた、しかしとても穏やかな笑みをたたえたゴ
ッホの姿でした。

このとき、彼ははじめて、伯父を身近な存在として感じることができたのです。
そして、長年にわたるわだかまりから解放されます。パリの美術館との商談も、
破棄することを決めました。オランダに戻った彼は、コレクションをまとめて展
示できる美術館の構想を練り、現在のゴッホ美術館へとつながっていきます。

もちろんこれはドラマの筋書きですので、脚色はあるでしょうが、45分ほどで4
話完結というとても短いシリーズで2つの物語が同時進行しますので、話を膨ら
ましすぎていることはないだろうと思います。

諸説あるゴッホの生涯についても、主だった出来事を中心に速いテンポで展開し
ていくため、仮説に基づいて多くを補うことはされていません。耳たぶを切り落
とすエピソードは、ゴッホ自身の行為として描かれており、拳銃事件の顛末につ
いては、ゴッホの絵のモデルにもなったオーヴェルの旅館の娘に「よそ者であっ
た彼が自殺を図ったことにしておくのが最善だった」と語らせています。銃創は
致命傷ではなく、駆けつけた弟のテオは、手術をすれば助かるかもしれないと訴
えますが、ゴッホは「自分がいることで父にも迷惑をかけてしまったし、お前に
も負担をかけてしまった」と言って治療を拒み、最期を迎えます。


歴史に「もしも」はありませんが、フィンセント・ウィレムの妻が、彼の不在時
にパリの美術館からの電話を受けていなければ、秘密の商談に気づくこともな
く、ひいては、アムステルダムにゴッホ美術館が誕生することもなかっただろう
と思います。今度、新しく生まれ変わったゴッホ美術館を訪れていただくときに、
そんな話があったことを、少し思い出していただければ幸いです。


あめでお


♪感想メール、お待ちしております♪
beraboamedeo*hotmail.com(お手数ですが*を@に置き換えてご利用ください)


◇◆次回4月30日(火)は、ルーマニア・ブカレストから初配信です◇◆
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【北米・オセアニア編】【中南米・アフリカ編】【アジア編】
          【出戻り邦人】もよろしくね

         ◇◇◇詳細は下記のHPで◇◇◇
         http://www.geocities.jp/detahome/
       各種問い合わせ先:detahou@hotmail.co.jp

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電子出版 :出たっきり邦人【欧州編】<まぐまぐID:0000023690>
発行協力 :まぐまぐ http://www.mag2.com/
発行責任者:欧州編ライター一同 連絡先:oushuhen@hotmail.com
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【出たっきり邦人 欧州編】1175 フランス

【出たっきり邦人 欧州編】1175 フランス

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            ◇◆乙編◇◆
           〓フランス・パリ 郊外発〓
             移民への道

      ~フランス国鉄でのトラブル、あれやこれや。~

みなさま、こんにちは。お元気ですか?
先週、数名の生徒さんが日本へ旅立ちました。目的はもちろん、桜!
うらやましいですねえ。わたしは、渡仏して以来、桜の時期に帰国したことはありません。
だって、この時期に、まとまった休暇を取るのは難しいですよ。
子どもが小さいときは特にそうです。夏休み以外は無理です。
でも、去年、息子が高校を卒業し、とりあえず一段落つきましたので
(実は浪人中なんですけどね)、来年あたり、春に日本に行ってやろうかな。

さて、日本はいい季節でしょうけれど、今年のヨーロッパは未だ、冬が続いています。
30年ぶりの寒さだそうですよ。4月に入っても零下まで下がる朝もあり、
最高気温もやっと10度前後。
お日様はすっかり長くなりましたから、朝、私が家を出る7時30分には
すっかり明るいですしね、それだけは救いなんですけど、
いったいいつまで、厚いコートを着て、冷たい風の吹くホームで電車を待たなければ
いけないのでしょうねえ。

私の住む町は、パリ市内から約50kmの距離にあります。
パリ市内がメトロ、パリに隣接した郊外が、RER(高速地下鉄)で網羅されているのに対し、
50kmも離れてしまいますと、SNCF(フランス国鉄)の管轄になります。
フランスには私立の鉄道はありません。国内を大きくつなぐ鉄道はすべて国鉄の、
市内を走るメトロなどは地方自治体の経営です。
パリとその郊外の定期券は駅から駅で購入するのではなく、ゾーンで購入します。
1ゾーンはパリ市内のみ、2ゾーンはパリ市内と隣接郊外(1,2ゾーンは共通価格)
3ゾーンから6ゾーンは国鉄または高速地下鉄の範囲となります。
ちなみに私の定期券は5ゾーン。この定期券で、北はシャルル・ド・ゴール空港まで、
東はディズニーランドまで行けてしまいますので、なかなかお便利です。(高いけど)

RERに関しては結構ややこしくて、ある駅まではRATP(パリ地下鉄公団)の管轄、
それ以遠はSNCFの管轄、という線もあります。
乗客にとっては、どこが経営しようが、ちゃんと走ってくれればそれでいいのですけど
違いが出るのが、フランス名物、ストライキでございます。
たとえば、RER  A線はほとんどが地下鉄公団の経営ですので、
比較的、ストライキが少ないんですね。でも、電車は汚い・・・
それに対し、D線やB線は最近特に新車が導入されてきれいになりましたが、
しょっちゅうストライキでストップします。これってSNCF経営丸出し。
我が家の最寄り駅はSNCF100%の電車と、RER  C線が乗り入れておりまして、
このC線というのが大変ややこしい線でして、
これがまた、あちこちに枝分かれしているのですが
方向によってRERだったりSNCFだったりするんですね。
だから、今日はRER  C線がストライキ、ただし、南方面は動く、
または、パリ市内だけは動く、みたいな日があります。

そもそも、なぜSNCFはそんなにストライキを行うのか?
(1ヶ月に一度は必ずあると言っても大げさではないです)
そんなに待遇悪いのか?給料が低いのか?
とんでもないですよ、実は、SNCFに勤務する友人がいるのですが
そりゃ、超高給取りとは言えませんけれど、福利厚生完璧、老後は天下り放題(笑)
いったい何が不満なのでしょうという優遇されぶりです。
つまり、労組がめちゃくちゃ強いのでしょうね。結構なこった。

ストライキにも、いろいろ規模があったりして、
SNCFの一部署が決行するスト、こういう小さい規模ですと、事前予告などありませんから
こういうのにぶつかると一番うっとうしいです。
ただし、長く続くことはめったにありません。1日で終わるのがほとんどです。
SNCF労組主催のストや公務員ゼネストの時には、事前予告があります。
こちらは、数日続くときもあります。
昔は、駅の構内に張り紙がされたり、当日の運行予定表が配られたりしました。
今はすごいですよ、2日前には予告メールが入りますし(SNCFのサイトで登録要)
運行予定表もダウンロードできちゃいますから。
ただ、予定は予定ですからね。実際にはそのうち半分しか運行しなかったり、ということも
大いにあります。もちろん、「事前予告なく変更される可能性があります」と、ちゃんと
記載されていますから文句も言えません。ああ最低。

やってくれますSNCF。ストライキだけじゃないんです。
あっちの故障、こっちのトラブル、事故・・・遅延や運行中止は日常茶飯事、
大きな遅延なら遅延証明書を発行してくれますけれど、
10分や15分では発行してくれません。
会社に、SNCFの事故で・・と言って、信じてもらうしかないです。
だいたいは、信じてくれるみたいですけどね。
寝坊したときの遅刻の言い訳に、SNCFの遅延は使えません。
だって、あまりにも、リアル遅延が多すぎますもん・・・
ただ、遅延と言ってもいろんな事情があります。
天候不良による遅延(雪が降ったくらいでなぜ遅延する?毎年のことでしょうに)
秋には、落ち葉による遅延、というアナウンスもありました。乗客爆笑。
もちろん、というか、これが圧倒的に多いのですが、さまざまな故障による遅延。
あと、残念ながら、事故、自殺者による遅延、というのも少なからずあります・・・

去年、生まれて初めて、自殺現場に乗り合わせてしまいました。
バタバタバタ、と、石ころが電車にぶつかるような音がして、電車が急停車しました。
そのあと、何のアナウンスもないまま10分ほど停車した後
事故が起きましたので申し訳ありませんが当分停車します、と言うアナウンスが入りました。
わたしには、何が起こったのか全く分からなかったのですが
こういうときには、事情通が必ずいるもので、乗客の一人が
「自殺者だよ。間違いない。これから、救急車と警察が来て処理するまで待つしかない。
1時間は堅いね。」と車内にアナウンス。乗客たちはもちろん溜息。
でも、どうしようもないです。もちろん、外には一切出してもらえませんしね。
ときどき車窓から、警察や救急隊員の姿を覗いてみたり、あとどれくらいかしらねえ、など
話したりしながら時間をつぶしました。
結局、1時間半ほどの遅延でした。
この場合は、大変ご迷惑をおかけしました、というアナウンスが流れたほかには、
遅延証明が貰えるだけで、ただただ、最低な場に居合わせて不運だったと言うしか
言いようがありません。

でも、最近は、サービス向上に力を入れるSNCF、故障による遅延ですと、
なんらかのフォローがあります。
先日、朝の出勤の電車が、電気系統の故障とかで、1時間15分遅延しました。
「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。モンパルナス駅にて、
温かい飲み物を用意しております」とのアナウンス。
ほお、そりゃまた、親切な。
私を含め、ほとんどの人が、出勤途中だったはずですけれど、
会社には既に大遅刻しているのだから、
この際、後10分遅れたところでどうってことない、てなもんです。
駅に着いたらすでに、案内所の前に、大きな飲み物コーナーが準備されていまして
みんな仲良く、コーヒーとクロワッサンを楽しみました。

そういえば、1月に、ボルドーへ行った時の帰りのTGVは急な大雪のせいで、
2時間遅れたのですけど、お詫びの言葉だけでしたね。お茶もお弁当も何もなし。
夕方発の電車だったんですよ。お腹が空きましたよ。ええ。
天候不良は免責、ということでしょうか。

先週はブリュッセルへ行きました。タリスという国際線でして
ベルギー、ドイツとの共同経営で、パリからブリュッセルを経由しケルンへ繋がります。
こちら、乗り心地も良ければサービスも悪くないし、トラブルも少ない、と、
なかなか評判の高い列車です。
わたしは、TGVに乗るよりタリスに乗った回数のほうが多いというほど、
よく利用し、今までずっと快適な思いをさせてもらっていましたが、
今回ついにやられましたね。
それは、帰路のことでした。ブリュッセル出発が18時30分、
パリ北駅に20時に到着し、我が家には21時半ごろの帰宅予定でした。
定刻に発車し10分から15分くらい走ったところでスピードが下がりだし
ついに停車。「トラブル発生のため、少しお待ちください」と、即時アナウンス。
その後、10分おきくらいに「申し訳ありません。まだもう少しお待ちください。」
とのアナウンス。訛りのあるフランス語と、ドイツ語と英語。
車掌さんはドイツ人なのでしょうか。
(この電車はケルン発、ブリュッセルを経由しパリに行く電車でした。)
律儀に何度もアナウンスを繰り返します。

気が付いたら既に1時間近くたっていました。
そして「この電車は最終的に故障しました」とのアナウンスに車内爆笑。
で、どうなるわけ?と、野次が飛びます。
「この電車は、モーターが完全に故障し、電気系統が全く動きません。
今、ブリュッセルから牽引車が向かっております。
この電車は牽引されてブリュッセルに戻り、皆様はそこで別のタリスに乗り換えて
パリに向かっていただきます。大変ご迷惑をおかけしますが、どうぞご協力ください」
協力もくそも、従う以外にないやんか。と再び野次。
でも、ブリュッセルから大して離れていないからよかったやん、
これが、ちょうど中間なら最悪やったで。という楽観的な声も。

電気がつかないので車内は暗く、トイレも暗く、暖房は効かないのでだんだん寒くなるし
食堂車に行っても暖かい飲み物はサービスできず、かなり悲劇的状況の中、待つことさらに
1時間。牽引車が到着。牽引が始まるまでにさらに30分。この時点で既に22時です。
「牽引車は時速30kmしか出せません・・・ご迷惑をおかけしますがご了承ください」
さすがにMon Dieu !!!の声が聞こえました。大騒ぎしていた子どもたちはすでにぐったり。
そしてブリュッセルに戻ったのが23時。
到着10分前に、律儀なドイツ人車掌の、長いアナウンスが流れました。
「みなさま、ドアは自動であけることができませんのですべて手動で開けます。
ステップも出せませんので足元にはどうぞお気を付けください。
タリスは同じホームの反対車線に待機しております。同じ車両の同じ席におかけください。
みなさまのために、軽食の用意もできております。
ブリュッセルでもう一泊して明日パリに戻ろうとお考えの方も
いらっしゃるかもしれませんが、パリにて、宿泊先やタクシーなど、
すべての便宜を図らせていただきますので、どうか、予定通りパリへご出発ください。」
ふむふむ、なかなかわかりやすくてよろしい。

ここからは恐ろしく早かったですね。
みんな、手際良く荷物をまとめ、移動します。男性たちはいち早く降車して、
お年寄りに手を貸してあげたり、小さい子供がいるお母さんを手伝ったり。
出発したのは23時10分くらいだったと思います。
このたびは、トラブルによる遅延のために、大変ご迷惑をおかけしました。という
お手紙つきの、立派な軽食セットが配られたのには大笑いしました。
だって、23時ですよ?
実は、わたしは1等車に乗っていたので、すでに車内食を頂いていたのです。
タリスは国際線ですから、たとえ1時間半の距離でも、一等席では食事が出ます。
タリスの食事はおいしいんですよ。わたしは、一度味をしめて以来、タリスに乗るときには
必ず1等席に乗ります。料金も、早めに予約をすれば、2等席とほとんど変わらないんです。
機会がありましたら是非お試しください。
とにかくそういうわけで、わたしは、お腹が空いていなかったので
軽食セットを見て笑ったわけですが
そういえば、20時に到着する予定だったのですから、
お弁当持参の人などいなかっただろうし、2等席の人たちは夕食を食べ損ねたわけです。
そうか、この軽食セットは配られて当然と言えば当然なんだ。
妙に納得しながらも、私は食べたくなかったので、話のタネに、お持ち帰りさせて
いただくことにし、代わりにと言ってはなんですが、ワインだけは遠慮なく頂き、
そうこうしているうちにあっという間にパリに到着したのが0時30分。

ぞろぞろと降車しますと、到着ホームには「ホテル」「タクシー」という
二つのカウンターが出来ていました。
どちらも要らない、という人もきっといたのでしょうけれど、
4分の3くらいの人は並んだと思います。
もちろん、うんざりするほど長蛇の列ができあがります。
でもね、早かったですよ。到着前に車掌がすべての乗客に聞いて回っていましたから、
すべての手配ができていたのでしょうね。
切符を見せて、ホテルなら何名一室であることを告げ、ホテル券をもらうだけ。
タクシーはもっと早い。タクシー券をもらうだけ。
ほおお、なんと敏速。日本並みのサービスじゃないですか。
わたしはホテルにしました。翌日は祝日でしたしね。この際、ゆっくりもう一泊。
徒歩5分の距離のホテルに到着したのが午前1時ごろ。
清潔なホテルでしたし、朝食までついていましたし、快適快適。
というわけで、大変だったのだか、却って面白い経験をさせてもらったのだか、
よくわからない旅でした。

SNCFのトラブルには少なからず遭遇しておりますが
共通して言えるのは、不快感をあらわにしたり、どなったり、責任者出てこい、的な
物言いをしたりする人がいないということです。
単なる偶然なのかもしれませんけれど。
トラブルで電車の中に閉じ込められていても、いつも、必ず一人は、
人を笑わせるのが好きな人がいて、その人が同じ車両に乗り合わせている乗客たちを
和ませる。そんな感じです。
だから、私は今まで、フランスの電車でトラブルに遭っても、
散々な思いをした、もう二度と嫌だ、と、そんな風に思ったことはないのです。
いえいえ、わざわざ遭いたくはないですよ。
できれば、避けて通りたいです。ええ、もちろん。

MAO@ふらんす

ご意見ご感想はこちらまで!
keiko0904@hotmail.com

◇◆次回は4月12日(金)スペイン・バルセロナ郊外から配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1181スイス

【出たっきり邦人 欧州編】1181スイス

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2013・05・03・1181   ■□■□■
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               ◇◆甲編◇◆

           〓スイス・チューリヒ発〓
         チューリヒのキッチンから その106



チューリヒのキッチンから その106

価格破壊の後に残るもの・・・


近所にテレビをメインに扱っているお店があって、その中央にはかつてソニーの大きなテ
レビが鎮座していた。お値段だって日本円で40万とか50万はする大型のテレビばかりだ
った。私は全くテレビを見ることがないので商品のスペックには興味もなかったが、陳列
された商品からは日本製=高品質というイメージは伝わってきて少し誇らしく思えた。

去年から我が家のテレビは巨大なサムソン製のスマートTVになった。それはある朝、郵
便配達員がいきなり持ってきたもので、薄型テレビが既にあったのに なんでまた新しい
の買ったのかしらと私がいぶかしんでいたら、どうやら懸賞に当たったらしい。らしい、
というのは懸賞に応募したはずの夫本人が覚えていなかったからだ。

それからしばらくして、近所の店のウィンドウ半分くらいがサムソンの広告になった。こ
れまではガラスのウィンドウの上に控えめにSONYのロゴがあったように思うけれど、
今度のはガラスの上半分を覆うロゴで、さながら視力検査表の一番下の2.0の文字サイズか
ら一番上の0.1の文字サイズになったがごとくの印象だ。そして当然ながら商品は殆どがサ
ムソン製のテレビに入れ替えてあった。

これまでは中を見もせずにそのまますぐにチラシは捨てていたが、何か気になって広げて
みると、テレビはお値段据え置きどころか どんどん価格破壊が進んでセールの目玉商品
なんぞは半額とかになっていたり、いや半額になってなくても10万をきる商品ばかりに
なっていた。そして悲しいかな かつて載っていたソニーやパナのテレビはチラシに掲載
されていないこともあったりして全く影の薄い商品となってしまった。それは他のフィリ
ップス等の欧州ブランドも同様であまり聞いたことのないメーカー品とかになっていた。

そういえばテレビが届くより数ヶ月前、郵便でスマホが郵送されてきたこともあった。こ
れも懸賞があたった、らしい。というのもこれもまた夫が懸賞に応募したか定かではなか
ったから。届いたのは販売されたばかりのギャラクシーノート。

これって販促という形をとって消費者に送りつけているだけでは?
ともかくもこうしてシェア拡大はできているようだけれど、その結果は誰得なのだろう?

遠くチリや南アから運ばれてくるワインがスイスのワインの数分の一の値段であること、
同様に輸入されているキウイやバナナが地元スイスのりんごの半額にもならないこと、生
産者にはどのくらいの利益があるのだろうと思うと不思議でならない。

荒地となりつつある日本の工場、先日も年収100万コメントをだしたユニクロ、不幸な人
をたくさん生みつづける今のシステムから大人は次の世代に希望と言う言葉を与えること
ができるのだろうか?朝日新聞のコメントは至極まっとうだと思うのになぜ川久保玲女史
は叩かれたのだろう?

先週のチラシにたった一つだけ載っていたソニーのテレビは掲載商品の中で一番の高額商
品だった。私は今日はお気に入りのギャルソンのシャツを着て出かけよう。

それでは次回まで ごきげんよう!

きいろ


『チューリヒのキッチンから』へのご意見・ご感想などは、こちらまで。
          kiiroch@hotmail.com


◇◆次回は5月10日(金)ギリシャ・スパルタから配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1180 初登場!ルーマニア

【出たっきり邦人 欧州編】1180 初登場!ルーマニア

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2013・04・30・1180   ■□■□■
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              ◇◆乙編◇◆

           〓ルーマニア・ブカレスト発〓

             リトル・バレリーナ
              

第1回 どうしてここルーマニアへ?


はじめまして。
ルーマニア・ブカレストでプロのダンサーをしていますあーこです。
その前はヨーロッパのバレエ学校に4年いました。
バレエのことやルーマニアのことなどいろいろ書いていきたいと思います!!




今日はタイトル通りどうしてここルーマニアに住むことになったのか書きます。



バレエを始めたのは、4歳のときです。はじめは趣味程度で週に一回近所の
バレエ教室に通っていました。小学4年生で、はじめてトウシューズを履き
それからは週1回が2・3・4と増えていきほぼ毎日バレエ教室に通いました。
(トウシューズとは、つま先で立つシューズのことです。)
とにかく毎日バレエ教室に行って踊るのが楽しくて仕方ありませんでした。
そのうちバレエのコンクールにも出るようになりました。コンクールには
全国の同い年のダンサーがたくさんいました。みんな私より上手で結果は
なかなか出ませんでした。


そんな私にヨーロッパのバレエ学校への入学許可がおりました。
中学2年だった私は「行く」の一言で中学3年の夏からバレエ学校へ留学する
ことになりました。
はじめの一年はホームシックや言葉の壁で毎日よく泣いていました。
2年目からは仲のいい友達もでき、ホームシックになることは少なくなりました。
バレエ学校ではバレエだけではなく解剖学や音楽、バレエの歴史など勉強も
たくさんしました。
4年目にはPrix de Lausanneという有名なコンクールにも学校代表として
出ました。それとともに、就職活動も始まりとても忙しい毎日でした。
毎週末ヨーロッパ内のカンパニーにオーディションに行き、身も心もボロボロ
になっていました。就職はとても難しく、何時間かけて行ってもたったの
15分でオーディションが終わることもありました。時間は過ぎていくのは
早く就職の決まらない自分にイライラしていました。
そんな中バレエのオーディションサイトでブカレストナショナルオペラの
オーディションを見つけました。飛行機で約3時間。
とにかくプロのダンサーになりたいと言う思いでオーディションに行きました。
その思いが通じたのかオーディションに無事合格。嬉しいというよりは
ほっとしました。これで私もプロのダンサーになれる。夢が叶う。
バレエ学校卒業までは毎日たくさん勉強し練習し無事卒業証書をもらいました。


一か月半の夏休みを終えてここブカレストでプロのバレエダンサーとして働き
はじめました。


次回は「ルーマニア生活の始まり」です。



あーこ



ご意見・ご感想はこちらまで。
待っています。
a-ko-disney@live.jp


◇◆次回5月3日(金)は、スイス・チューリッヒから配信予定です◇◆
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【出たっきり邦人 欧州編】1178イタリア

【出たっきり邦人 欧州編】1178イタリア

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■□■□■ 出たっきり邦人・欧州編・2013・04・25・1178 ■□■□
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                      ◇◆乙編◇◆ 

               〓イタリア・ヴェネツィア発〓
                    水、ゆらりゆらり
 
その68 イタリアの春

まずは、配信が大変遅れましたこと、お詫び申し上げます。

実は今、日本にいます。
中たった8日と、いつもに増して短い滞在、しかも大変ありがたいことにその
半分くらいは仕事をいただいて、残りわずかの時間を今回集中してあてている
のは、美術展巡り。
公立から私立、デパートの催事場まで、大小の企画展の多い日本、いつも帰国
中はあちこち見て回るのを楽しみにしているのですが、今回はとくに、この春、
東京で興味深い展覧会が多すぎて嬉しい悲鳴です。

特に今年は、在日イタリア大使館による「日本におけるイタリア2013」のため、
イタリア関連の美術展が目白押し。ふだんイタリアの美術館で「目玉」として展
示されている作品、逆に作品保護のため通常は暗室に収納されていて目にするこ
との機会のない素描などの作品、いずれもイタリア内外の多くのお宝がこうして
遠い日本の地で、たくさんの方々を前にしているのは、なんだかくすぐったいよ
うな気持ちすらします。

貴重な休日に展覧会を見に行くとして、どれを見に行くのか迷ってしまうけれ
ども、お勧めとして筆頭に挙げておきたいのが、東京都美術展の「レオナルド・
ダ・ヴィンチ」展。そう、まずは何と行ってもダ・ヴィンチです。ポスターに
もなっている「音楽家の肖像」は、所蔵するアンブロジアーナ図書館・絵画館
にとってシンボルのような存在。日本ではこれまで、ほかの美術館に比べてあ
まり知られていなかったアンブロジアーナですが、創立はなんと1609年、そ
の当初から今も変わらずミラノの大聖堂(ドゥオーモ)から徒歩数分のところ
にあります。
ダ・ヴィンチの「音楽家」と並んで同館を代表しているのが、カラヴァッジョ
の「果物籠」で、こちらは写真集や画像でもご存知の方も多いのではないでし
ょうか。
図書、絵画、いずれも質、量ともに世界的にも貴重な同館のコレクションの中
から、今回の展覧会には、その「音楽家」とともにダ・ヴィンチの手稿やダ・
ヴィンチが多面体などの挿絵を描いた幾何学書「神聖比例論」(ルカ・パチョー
リ)、そしてレオナルドの追随者たちなど、100点を越える作品が展示されて
います。

同じ上野公園内、お隣の国立西洋美術館で開催中のラファエロ展もまた見逃せ
ません。
こちらは日本で行なわれる大規模展としては比較的珍しいことに、フィレンツェ
のピッティ美術館をはじめ、世界中の主な美術館からラファエロの作品が集め
られています。1つのテーマの下に、複数の美術館から作品を集めるのは、企
画から交渉、搬送、何を考えても簡単なことではありません。ラファエロとい
う、日本でも人気がありながらこれまで本格的な企画展のなかったという日本
で、これだけの作品をまとめて鑑賞できるのは もちろん初めて。

実は、これはもうほんとうに大変幸運なことに、としか言いようがないのです
が、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展に関して、展覧会準備の段階で、微力な
がらお手伝いをさせていただいておりました。
(年はそれなりに重ねていますが)まだまだ仕事の経験の浅い私に、身に余る
業務を任せてくださった主催者のみなさんに深く感謝するとともに、決して平
坦で順調なことばかりではなかった実情を少しばかりする者として、その苦労
の末の大きな大きな果実を、少しでも多くのみなさんに味わっていただけるこ
とを祈るばかりです。
どうぞみなさん、この春は上野におでかけください!

日々の様子については、随時ブログでご紹介しています。

萌香

ご意見、ご感想をお待ちしております。
moeca-ve@hotmail.com
ブログ:http://fumiemve.exblog.jp/

◆次回は4月26日(金)オランダ、アイントホーフェン郊外から配信
予定です◇◆   
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【出たっきり邦人 欧州編】1176 スペイン

【出たっきり邦人 欧州編】1176 スペイン

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■□■□■  出たっきり邦人・欧州編・2013・04・17・1176   ■□■□■ 
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              ◇◆甲編◇◆
             
          〓スペイン・バルセロナ郊外発〓

            たまねぎ村に陽はおちて

                第46回(闇と言っても暗くない)



またまた今週はうっかりしていまして、配信が遅れました。すみません。

急いで配信しますので、短い経済ネタを。時々リクエストがあるのですが、苦手なので
逃げてたんですね。すみません。ええ、珍しいですね。この私が経済ネタとは!

スペインは、相変わらず大不況です。が、バルセロナはバルサ(サッカーのバルセロナの
チーム)もチャンピオンズリーグ(欧州クラブ選手権)の準決勝に駒を進めております。
じつはバルサがチャンピオンズリーグで優勝する年は、スペインの株価は必ず上がるという
記録がありまして、さあ、どうなることでしょう。

さて、スペインの若者達は今もなお、厳しい状況に置かれていることは確か
です。「30歳で大学生」という人がこの国にはたくさんいて、決して
恥ずかしいということではありません。それまでずっと実家暮らしなのです。

たとえ新卒で雇ってもらっても、月給は1000ユーロ(約10万円)が相場である。この
「1000ユーロ(ミル・エウロ)しか稼げない若者」という意味で、「ミルエウリスタ」
という言葉も生まれてますが、昨年あたりからは、月給800ユーロの仕事でも
見つからない場合が増えてきています。

家賃は都市部でも500ユーロ程度はするため、生計がなりたたない。結果親元を
離れることができず、ずっと自立できないという社会問題に発展しています。

スペインの大学生は学業に励んで卒業しても就職できないため、2010年頃からは、
南米(アルゼンチンやメキシコ)や近場(イギリス、フランス、ドイツ)へ、
出稼ぎに出る若者が急増中。特にスペインで建築を学んだ学生は諸各国で
ひく手あまただとか。

わたしは97年にスペインに留学できたのですが、その頃は、「わたしは
この州から出たことがない」と話す大学生の友人がごろごろ、さらに
お年寄りでもそういう人が多いのは驚きました。本当に「おらが村根性が
強いのです。


さて、話はずれましたが、学生が仕事探しに躍起になってい一方で
ヤミ労働が横行しています。町のあちらこちらで「格安リフォーム業者」、
「ペンキ塗ります」、「水道のつまり直します」といったチラシが目につく。
これらはすべてヤミ労働。こういったリフォーム会社に依頼すると、
「領収書はいるか?」、「領収書はIVA(消費税)抜きでいいか?」などと
聞かれるのです。また「領収書なしなら、安くしとくよ」と、言われることも多く、
スペインの消費税は21%なので、脱税すれば結構な額になるのです。

生きるために、みな必死なのです。
でも、その必死さを笑顔でカバーしてがんばって生きていく。
それがスペイン人のすばらしさかなと思う今日この頃です。

では、また。

ニエベス@バルセロナ郊外たまねぎ村
ご意見ご感想、待ってます。

メールは
<nieves2001あっとgmail.com>
↑あっと、のところに@マークをいれてくださいね。


◇◆次回は4月22日(火)イタリア/ベネチアからの配信予定です◇◆

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■Weekly Mail Journal■2013/6/5 No.687

■Weekly Mail Journal■2013/6/5 No.687

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  2013/6/5   No.687   週刊メールジャーナル   読者数9574(前回)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【お礼】

本号をもって、この『週刊メールジャーナル』を終刊とさせていただきます。
本誌は、1999年9月1日に創刊以来、13年9カ月間、ほとんど休まずに毎週発行を
続け、本号は687号となりました。

平成14年には、購読者数1万2000人を突破、「打てば響く」と自信過剰な時期も
ありましたが、平成16年9月を境に購読者数は漸減し、昨年7月、ついに1万名を
割り込み、先週号は9574名となりました。

ひとえに、編集発行人たる川崎明の努力不足が原因であると、反省をいたして
おります。

しかるに、さる4月、本誌がお世話になっていた『現代産業情報』の主宰者であ
る石原俊介氏が急逝、4月15日号を以って終刊となったことから、本誌も本号で
終刊とする決定をいたしました。

長年、ご愛読をいただいたご購読者の皆さまに心から感謝し、厚くお礼を申し
上げます。

なお、複数の有志の方から、『週刊メールジャーナル』の(まぐまぐにおける)
発行権を譲り受けたいとのお申し出を頂いております。

しかし、『週刊メールジャーナル』は登録商標(申請中)であり、この譲渡に
ついては、長年、編集発行人のスタッフとして協力を続けてくれた仲間の同意
を求める必要があると判断しています。

決定については、後日、新たな「発行」をもって、お知らせすることになると
存じます。何卒、ご了承ください。



■社内広報担当者の「Facebook」利用のすすめ
(ナナ総合コミュニケーション研究所ポータルサイト「コミサポネット」の
コラム「社内広報を考える」6月3日更新より転載)
⇒http://www.commu-suppo.net/

グローバル化の進行、ドメスティック経済の激変など、日本の会社の経営環境
は複雑怪奇な状況に置かれ、「マネジメントとしての社内広報」(ICM)がます
ます重要性を帯びてきたことは、広報担当者の共通認識であろう。

その意味で、この(コミサポネットの)コラムを書かせてもらうことは、「ICM
にかかわる現代経営論」を展開させてもらう貴重な機会として、意欲的に取り
組んできたつもりである。

しかしながら、「ICM担当者といってもその多くは社内誌編集担当者」という、
日本的経営実態が普遍化している現況では、「お説教の相手が違うのでは」と、
いわれていたかもしれない。

ナナ総研(ナナ)主催の「社内広報サロン」で、このコラムの熱心な読者であ
ることを自己紹介してくださる方がまれにおられ、心強い思いをしたこともあ
るが、ナナに直接、感想や意見をくださった方がいたという事実は、寡聞にし
て聞いた覚えがない。

実は、私はこれまで、このコラムを、私のメルマガ『週刊メールジャーナル』
に、すべて転載してきたのだが、毎度必ずといっていいほど、購読者から意見
が寄せられ、ときには、繰り返しメールのやり取りが続いた読者もおられた。

例えば、前号の“改憲論”に対しては、すさまじい反論が100通以上寄せられ、
いまだに往生しているのだが、ま、それはどうでもいい。

だが、このメルマガサイトは、13年9カ月の間、ほとんど休まずに、毎週発行を
続けてきた実績があるのだが、もろもろの事情により、6月一杯で閉じることに
したのである。もちろん、インターナショナル・ドメインも更新しない。

そこで私は、このコラムを転載する別のメディアを探すか、あるいは、ナナの
コラム読者に迎合するため、もっと、インタラクティブなコミュニケーション
ができるような内容にシフトするか、どちらかを選択しなければならなくなっ
てしまった。

実は、数年前だが、私のメルマガの熱心な購読者で、それがご縁で、わざわざ
社内広報サロンに参加された方がおられた。

その方から、今年3月、「ご記憶でしょうか」というご挨拶で、『週刊メールジ
ャーナル』についての貴重なご意見をいただいた。

その内容はともかく、その方と久しぶりに再会し、その際、すすめられて4月、
Facebook(Fb)のアカウントをとり、「お友達をリクエスト」する破目になっ
てしまったのだ。

これまで私は、メルマガ購読者の反響に対応するだけで手一杯であり、SNSは無
縁と考えてきた。

だが、メルマガをやめても、Fbが意外な役割を果たすことになるかもしれない
と、思うようになってきたのである。(Twitterのアカウントもとったのだが、
こちらは、目下、あまり突っ込んでいない)

で、Fbの先輩であり、現にナナの社内誌審査を担当している仲間、中澤章氏、
明石雅史氏、それに、かつて「社内広報センター」の審査員仲間であった高津
隆氏、安藤丈子氏の4氏が、私の「リクエスト」に対して「親しいお友達」とし
て「承認」をくださった。

説明の必要はないだろうが、Fbの良さは、記名登録のうえで発言することであ
り、経歴も登録されていることだ。(SNSにありがちな「無責任発言」はしにく
いということ)

したがって、このコラムをアップした時は、その概要をシェアし、それに対し
て「いいね!」のコメントをいただけば、インタラクティブな意見交換ができ
ることになる。

つまり、メルマガを発行していた時と同じ結果が得られることになるのではな
いかと、次善の期待がふくらんできたのである。(もちろん、コミサポネット
にアクセスすることが前提ではあるが)

その意味で、審査員仲間はもちろんのこと、ナナの「社内広報サロン」に参加
された方々には、Fbの「親しい友達」に「リクエスト」していただければ、ま
ことにうれしいし、さまざまな可能性に期待がふくらむ。

もちろん、ナナ審査員の先輩・木村幸男さんが、同じコラム欄に「編集者への
LoveLetter Part2」を執筆しておられるので、ともども同様にインタラクティ
ブなコミュニケーションができることもうれしい。

結果として、コミサポネット会員が増加する可能性があり、ナナにも大きなメ
リットがあると思われる。

ご承知のとおり、こんどの参院選から、ネットによる選挙運動ができることに
なり、政治家やその卵たちが、猛烈な勢いでFbの「お友達リクエスト」を展開
し始めている。

ICM担当者と社内誌編集担当者の仲間たちが、「お友達リクエスト」運動を展開
し始めたとしても、決しておかしなことでも、不思議なことでもない。

今の時代、ICMについてのさまざまな意見、社内誌編集についての質問やノウハ
ウをインタラクティブに交換できる場ができることは、きわめて有意義なこと
に違いない。

ところで、ICMというのは、現代経営論の一分野として、いま、最も先進的なマ
ネジメントを担う宿命を負っている分野といえるだろう。

なぜなら、現に、目の前に突きつけられた経営課題に、「会社を挙げて」向き
合うためには、現実的経営論としてのICMを執行せざるを得ないからだ。

その意味で私は、この際、もう少し先の時代を見据えた提言をさせて頂きたい
と思う。

冒頭にも書いたとおり、日本の会社の実態は、「ICM担当者といってもその多く
は社内誌編集担当者」であり、結果として、「トップマネジメントとしての社
内広報」はきわめて弱体化している現状にある。

この状況のままでは、グローバリゼーションに対しても、ドメスティックな経
済変動に対しても、「会社を挙げて」機敏な対処はできっこないだろう。

まず、社内誌編集担当者は、経営課題を解決するための、最大限効果的な社内
広報メディアの編集者として、編集発行のスキルをプロフェショナルな域に高
める必要がある。

さりながら、経営に実効性があるメディアを発行するスキルは、きわめて奥が
深く、ルーティンワークで身につけることができるほど甘い業務ではない。

例えば、社内誌の年間企画を立案する前提には、現代経営学の基礎的な素養が
が必要だ。

そのためには、コミュニケーション学はもとより、組織論としての情報学や媒
体学などの絶えざる学習、研究が欠かせない。

さもないと、経営環境に適合するために必要な、トップマネジメントをブレー
クスルーさせることはできないし、それを、社内に均霑(きんてん)させるこ
とも不可能である。

社内メディアといえども、そのコンテンツをターゲットたる読者心理に浸透さ
せることができなければ、そもそも、ICMの一端を担ぐ意味がない。

少々ひねっていえば、「たかが社内誌されど社内誌」ということか。

社内メディアは、企画と内容だけで、ICMの目的を達成することは難しく、ICM
のねらいを実現するためには、すぐれたメディア・デザインが必要だ。

例えば、インタビューの仕方、記事の書き方、写真の撮り方、レイアウト、配
色、印刷、製本などには、それ自体、プロのスキルが必要なのだが、すぐれた
メディアを発行するためには、これらすべてを、統合する必要がある。

だが、就任して期間の浅い社内メディアの編集担当者が、短期間で身につける
ことは、いずれも難しいスキルばかりである。

だからといって、やみくもにアウトソーシングしても、絶対に経営課題は解決
しない。

下請け業者は、経営の現況、社内の空気の機微を十分に知り得る立場にはなく、
編集担当者がコントロールする必要があるからだ。

トップマネジメントは、自らのガバナンスの効率化を図るために、ICMの重要性
を認識し、頼りになるICMのプロを育成する時間とシステムを構築すべきである。

つまり、すぐれた社内メディアの編集発行は、専業職業人(プロフェッサー)
の業務であり、それができる人材はICMにとって必要不可欠な人材なのだ。

したがって、その高みに立つ職業人は、当然のことながら、ヘッドハンティン
グの対象になり得るし、転職によって収入がアップするのも当然といえる。

なお、ICM担当者とメディア編集発行担当との兼務は絶対に不可能である。

なぜなら、ICM担当者は、トップマネジメントのブレークスルーが基本業務なの
であり、メディアの編集発行にまで手が回らないのだ。

逆に、すぐれたメディアを発行するプロフェッサー社員は、ICMの執行にまで手
が回らないのは当然だ。

たとえ、従業員40~50人の会社といえども兼務はできないはずだ。それほど、
社内メディアの質を高めるのは容易なことではないのだ。

米国には、広報担当者を「ビジネスコミュニケーター」として、社内外の広報
を担当するプロフェッサーとして育成する土壌が早くから存在している。

「International Association of Business communicator(IABC)」という社
団法人があり、これは、世界各国の法人・個人で組織され、年1回、世界的な
規模で年次大会を開催している。

日本でも、ICM担当者と社内メディア編集担当者の相互研鑽の場として、早急に、
「IABC-Japan」の組織強化と定例研修活動を実現すべきであろう。

加えて、ICMについては、現代経営学の実践論として、アカデミックな研究・論
証が、今ほど必要になっている時代はない。

そのことにたいして、広報学会、経営学会、経済界の共通認識が必要である。

これまでも、経済団体には広報委員会が組織され、日本広報学会もそれなりの
活動を展開しているが、ICMに関する共通認識はまったく欠如している。

ICMの専門的・実践的研究と論証の場を新たに設ける必要があるだろう。

以上のような目的・目標を下支えするコミュニケーションの場として、とりあ
えず、Fbを活用してはどうであろうか。

ナナ総研としても、ただちに、公式Facebookサイトを立ち上げ、その効率的な
活用方法を検討していただくことを提案したい。

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 週刊メールジャーナル 2013年6月5日  第687号(水曜日発行)
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